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 英文契約書のうち,Service Agreement(業務委託契約)(サービスアグリーメント)の英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際のポイントについて解説致します。

 

 Service Agreementとは,委託者が一定の業務(調査業務,コンサルティング業務,顧問業務など様々な形態が考えられます)を受託者に委託し,受託者がこれを遂行することを約束する契約を指します。

 

 ① サービスの範囲

 サービスは,目に見えるものではない場合が多いですから,サービスを提供したか否か,または,提供する義務のあるサービスの範囲(Scope)に含まれるかどうかを巡りトラブルになることがあります。

 

 したがって,どのような業務・サービスを提供するのか,そして,そのサービスの範囲(すべきこととそうでないこと)を契約書に明確に規定することが重要です。

 

 業務内容が多岐にわたり細かくなる場合は,別紙(Appendix/Exhibit)を利用して契約書の末尾に,業務内容をリスト化した書面を添付する方法がよくとられます。

 

 また,業務内容のすべてをリストアップすることは難しいこともありますので,基本的な業務を列記して,最後に「これらに関連する業務および付随する業務」を含むという趣旨の記載も契約書にしておくほうが良いでしょう。

 

 ② サービス提供の方法

 サービスをどのような方法により提供するのかを事前に明らかにしていないと,委託者側から具体的方法について指示をされた場合に,その指示を拒否できるのかという問題が生じることがあります。

 

 したがって,サービスをどのような方法により提供するのかは,具体化しておく必要があります。

 

 例えば,コンサルティングの類であれば,面会,電話,メールでのコンサルティングを超えて,委託者の事業所等に出張しなければならないのか,などについて明記しておくと良いかと思います。

 

 相談やアドバイスをどのような手段で行うかについても,明確にしておくべきでしょう。

 

 また,受託者内のどの人間が担当するのか,下請けに出せるのかなども契約書に明記しておいたほうが良いでしょう。

 

 特に,顧問契約のようなサービス提供者の個性が重要視される契約については,誰が担当するのか,どこまで下請けに出せるのかについて協議の上,明確化しておく必要があります。

 

 ③ 委託料

 サービスの対価(Service Fee)を決定します。対価の決定方法は,言うまでもありませんが,明確である必要があります。

 

 一括支払いなのであれば,サービスの範囲と相まって,その料金でどこまでのサービス提供が義務付けられるのかという点が重要です。

 

 また,どの範囲を超えると追加料金が生じるのかなど,明確にしておかないと,委託者側が,本来想定していた範囲以上のサービス提供を「無償」(Free of Charge)でしなければならない場合もあります。

 

 時間単位での請求(タイムチャージ/時間正報酬/Hourly Rate Charge)であれば,作業時間をどのように検証するのか,報告をどのように上げさせるのかなどについて取り決める必要があります。

 

 さらに,トラブルを避けるため,サービスの対価である報酬ではなく,受託者がサービス提供について遣う経費(Cost/Expense)についても委託者・受託者がどのように負担するかについても決定する必要があるでしょう。

 

 受託者が,委託業務を処理するのに際し,移動を伴う場合,交通費の取り決めもする必要がありますし,宿泊を伴う場合は旅費の問題もあります。

 

 移動手段(鉄道,航空機など)や,宿泊施設については,どちらが用意するのか,受託者が用意するのであれば,グレード・等級を制限するなどの必要があることもあります。

 

 長期の海外出張などで,航空機のグレード(ビジネス・エコノミーなど)を決めておかないと,相当な金額について見解の不一致が起こり,受託者が支出してしまった後にもめることもあります。

 

 ホテルなどでルームサービスを頼んだ費用や,レストランでの食事の代金をどうするかなども細かいようですが,事前に取り決めておくほうが安全です。

 

 また,これらの経費を委託者が負担するとしても,実際に支出する前に見積もりを出させて,承諾しなければ負担しないと合意することもよくあります。

 

 ④ 契約の期間 

 コンサルティング契約などの継続的なサービス提供が予定される場合は,契約の存続期間(Term)について定める必要があります。

 

 通常は,例えば,最初は1年間有効とし,終了前30日前に更新しないとの通知がいずれの当事者からもなければ,さらに1年延長継続し,以降も同様とする(自動更新),などと定めています。

 

 同時に,契約終了時にどのようなことを当事者がしなければならないか(例えば,受託者が受領した機密情報書類を委託者に返却するなど)についても取り決めておく必要があります。

 

 さらに,契約終了後も継続する義務(例えば秘密保持義務=Confidentiality)について言及する必要もあります。

 

 ⑤ その他の注意点

 日本法においては,たとえ契約書のタイトルが「Service Agreement」や「Consulting Agreement」などとなっていても,その実態は雇用契約「Employment Agreement」であると見られてしまう場合があります。

 

 例えば,①委託者の管理下にあるオフィスでサービス提供を行っている,②サービス提供時間が委託者の指示により決まっている,③サービスの提供方法について委託者が細かく指示できるようになっているなどという特徴があると,日本法の下では雇用契約(Employment Agreement)と認められる傾向が強くなります。

 

 こうなってしまうと,委託者側の考えとは異なって,労働法による修正を受けることにより実質的な内容が大幅に修正されることになる可能性があります。

 

 したがって,契約書を作成する際には,実態をきちんと把握して,契約書が実態と異なることにならないよう注意する必要があります。

 

 なお,日本の労働法の規制は,当事者の合意に優先して適用される強行法規/強行規定が多いです。

 

 したがって,たとえ当事者間では労働法の規制内容とは異なる条件での合意がなされていて,当事者はお互いに納得していたとしても,強行法規/強行規定である労働法の内容が適用され,その合意の存在は意味がないということもありますので,特に使用者・企業側は注意が必要です。

 

 このことは,例え日本企業と労働者との間で準拠法を外国法とすることを合意していたとしても,日本で働いている労働者が日本の労働法を適用する意思を表示した場合,日本の労働法が適用されることがあるという意味でなお有効です(法の適用に関する通則法第12条第1項)ので注意して下さい。

 

 なお,日本企業が自社の従業員を海外に赴任させる場合にも注意が必要です。

 

 現地に赴任する従業員との間で準拠法を日本法とする旨の合意をしていないと,法の適用に関する通則法第12条第3項により,現地の労働法が適用される余地があります。

 

 また,従業員と日本法を準拠法とする旨の合意をしていたとしても,現地法により労働者保護の強い強行法規/強行規定が存在していた場合に,当該従業員が現地法の適用を主張した場合,その法律が適用される可能性があります(法の適用に関する通則法第12条第1項)。

 

 このように労働法は強行法規/強行規定となっている場合が多く,日本企業が海外に進出して現地国で業務委託をする場合も,現地の労働法が適用されて思わぬ制約を受けることがありえます。

 

 そのため,現地法が業務委託形態に対してどのような規制をしているかを進出前にチェックする必要があるでしょう。

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