英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語の一つに,Whatsoeverがあります。
Whatsoeverは,英文契約書で登場した場合,英米法の観点においては注意が必要です。
例えば,契約の解除を許す原因となる事由が例として幾つか挙げられ,その後にwhatsoeverが挿入されていることがあります。
これは,条項に記載された事由が生じた場合に限らず,「何であれ,何が起こっても」という意味です。(英国コモンローでは)この用語がカバーする範囲は非常に広大だと考えた方が無難でしょう。
例示したものに限られず,その他のもの一切を含むという意味です。
類似の場面で,or any other (e.g. cause)…などという表現も良く使いますが,whatsoeverはこれよりも広い概念と考えられています。
簡単に説明しますと,or any other…とした場合,orの前に列挙されている事由・事象などに類似したものに限られると,原則として解釈される(この原則をejusdem generis ruleと呼びます)のに対し,whatsoeverが挿入されている場合は,「類似性に関係なくおよそ何があっても」という趣旨に原則的には解釈されます。
この用語が挿入されていたがために,契約後に,契約の解除事由などを巡って重大な問題になることは現場でも少なくありません。
契約時にはよくわからなかったという「言い訳」は多くの場合通用しません。この辺りは具体的事例に即してその実際の意味,条項の効果の範囲について検討する必要があるところです。