英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Division of liabilityがあります。
もっとも,これは,英文契約書というより,不法行為に基づく損害賠償請求などで,当事者双方に責任が認められる場合,どちらが何割負担するかという責任割合を表すときによく使われる用語です。
損害額・量を意味するquantumと対比して理解する必要があります。
英国法実務では,例えば船舶同士の双方過失による衝突があった場合,まずこのdivision of liabilityを,例えば7対3であるなどと当事者間で合意し,その後,surveyorの調査を経てその結果などを基礎にquantumを合意し,最終的に和解するという解決方法が一般的に採用されています。
また,債務不履行による損害賠償請求の場面でも,帰責事由が双方当事者に存在し,これが競合して損害発生に至ったような場合を想定して,予め契約書において責任割合についての条項を定めることがあります。
もっとも,このような責任割合をドラフティングする場合には,算定基準などに曖昧さを残すと却って紛争を招きかねないので,注意を要します。