英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Surviveがあります。
これは,例えば,契約が終了した場合,または,ある条項が無効となった場合でも,特定の条項については効果を存続させる場合によく使用されます。
条項としてはSurvival Clause(生存条項)と呼んでいます。英文契約書では頻繁に登場する条項の一つです。
契約関係が解消されたとして,全ての契約上の義務が無かった,または,今後無いことになるのか,一部にすぎないのかという問題(severance/surviveの問題)は重要です。
この点で,よく契約終了後も効力が続くとされる条項のうち,重要な条項としては,秘密保持義務条項(non-disclosure agreement)や競業避止義務条項(競業他社との取引を一定の距離的・時間的範囲で禁ずる条項)などが挙げられるでしょう。
これらの義務については,たとえ契約が終了したとしても,一定の範囲で義務を課したままにする必要がある場合が多いため,Survival Clause(生存条項)に挙げられるのです。
このように,契約が終了した場合に,どの条項が引き続き効果を有するべきで,どの条項が失効すべきであるのか,具体的に事前に検討しておく必要があります。
もっとも,永遠に課す守秘義務や,地域が広範囲にわたったり,期間が長い競業避止義務は,裁判所によっては無効と判断される場合がありますので,自己の都合の良いように定めれば良いというわけではない点,注意が必要です。
例えば,These obligations set forth in this Article (Confidentiality) shall survive termination/experation of this Agreement for five (5) years.(本条(守秘義務)に定める義務は,本契約の終了/期間満了後も5年間存続する。)などと使用されます。
なお,日本語の契約書では,このSurvival Clause(存続条項)はあまり見ません。
これは,契約書の解釈で,内容から当然に契約終了後も効果が存続するものは判別できるという前提になっていると考えて良いでしょう。
また,契約において特定の条項が法令などに違反し無効となる場合に,他の条項はこれとは独立して効力を有し契約は存続するのか,それとも,全体が影響を受けて,契約が終了するのかなどを取り決めたい時にもsurviveの観念が問題となります。
こちらは,Severability(分離可能性)という問題として契約書では整理されています。
Severability Clause(分離可能性条項)では,問題のある条項だけが無効になりその他は影響を受けず有効に存続するという内容で契約書に規定されるのが一般的です。