With immediate effect/effective immediately(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,With immediate effect/effective immediatelyがあります。
これらは,英文契約書で使用される場合,通常,「直ちに効果が生じる」という意味で使用されます。
例えば,「相手方に契約違反があった場合に契約を解除することができる」という条項を契約書に定めることがあります。
その場合,①その違反を是正するように通知し,その後一定期間是正がなされなかった場合に解除ができると定める場合と,②違反があった場合には解除通知により即時に解除できるとする場合の2種類が大きく分けて考えられます。
日本語では,①を催告解除と呼び,②を無催告解除と呼んでいます。
With immediate effectやeffective immediatelyは②の無催告解除の定めを置く場合によく登場します。
例えば,In case of any breach of the provisions under this Agreement, each Party may terminate this Agreement by written notice to the other breaching party with immediate effect...(本契約に定める条項の1つでも違反した場合には,当事者のいずれも相手方違反当事者に対して書面による通知をなすことにより直ちに本契約を解除することができる)などとして使われます。
ただし,準拠法によっては,このような即時解除の効力がそのまま認められない場合も存在します。
無催告解除は,解除される側に不利益が大きいと考えられるからです。
つまり,契約違反にはいろいろな理由が考えられるので,もう一度契約を履行するように通知をしてあげて,それでも是正をしない場合にはじめて契約解除という強い制裁を認めるべきではないかという考えがあるわけです。
また,直ちに解除できるとすると,こちら側が「うっかり」義務の履行を失念していたという場合でも理屈の上では解除をされてしまうことになるので,是正のための妥当な期間を設ける方が得策であることも多いです。
自分が解除するときのことだけを考えるのではなく,自分がうっかり債務不履行をしてしまったときのことも考えるようにしましょう。
したがって,英文契約書の解除条項にwith immediate effect/effective immediatelyの文言があった場合には,その妥当性について当事者双方がよく検討する必要があるでしょう。