Accrue Interest(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語,今回は,Accrue Interestです。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「利息が付加される」という意味で使用される用語です。
例えば,Any invoices not paid by the due date shall accrue interest at the rate of XX % per year.などと使用されます。
上記の和訳は「期限までに支払いのない請求については,年利XX%の遅延損害金が付加される。」となります。
遅延損害金の定めは,普通は期限を過ぎてしまった支払いについて利息を得て儲けようということに主眼があるわけではありません。
それよりも,遅延した場合のペナルティを定めることにより,そのペナルティを嫌がって期限内に義務を履行するように促すという効果が期待できる点に主眼があります。
なので,例えば,取引の力関係から後払いを受け入れざるを得ないというような立場の弱い売買契約上の売主などにとっては挿入したい条項と言えるでしょう。
もちろん,売掛の回収リスクを減らすには,期限を遅れた場合の事後的な制裁をどうするかよりも,支払い方法を工夫する方がより効果は高いです。
例えば,L/C決済にしたり,前払いを要求したりという具合です。
特に,海外取引開始の段階で取引先の信頼性が未知数のときには,前払いを基本とすべきでしょう。
外国企業の場合,国内企業に比べて業界内の評判なども得られにくいでしょうから,国内取引に比べてより慎重になるべきです。
あくまで遅延損害金条項による対応は,次善の策と考えるべきでしょう。
ただ,力関係が弱い立場の当事者は前払いを約束せるのは難しいこともあります。
このように後払いを受け入れざるを得ない売主でも,せめて遅延損害金条項を入れることにより,買主が約束の期日までにきちんと支払いをするように対策するわけです。
なお,金銭を支払う義務を負っている当事者がその義務を果たさない場合に受けるペナルティはこの遅延損害金ということになります。
何を言いたいかと申しますと,例えば,商品の売買代金を買主が期日までに支払ってくれなかったために,売主が予定していた商品の仕入れを行えず,粗利を得る機会を失ったなどという損害は通常賠償の対象にならないということです。
あくまで金銭の支払いについては遅延損害金が負荷されるだけで,その他の賠償について請求することはできませんので,注意して下さい。
そのため,なおさら商品の引き渡しよりも前に代金の支払いを受けるなど,早めに代金を回収し,売掛を残さない体制を作ることが重要なのです。
なお,遅延損害金は法律によって上限が決められていることが多いです。
国の法律によって上限が定められているので,約定どおりの遅延損害金を必ずしも請求できるとは限らない点にも注意が必要です。
契約書では,この点を考慮して「遅延損害金年利XX%が発生するものとするが,法律により上限が定められている場合はその上限を限度とする」などと定めることもよくあります。