Inclusive/Exclusive(英文契約書の用語解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Inclusive/Exclusiveがあります。
これは「含まれる/含まれない」という意味で使用されます。
英文契約書では,数字や期間などについて規定する際に使われることがあります。
例えば,3月15日までに債務を履行する義務を課す場合,by 15th of Marchという表現や,on or before 15th of Marchなどと表現すると,15日も含んだ表現となります。
つまり,「3月15日またはそれ以前」に債務を履行しなさいという意味になります。
このような表現に曖昧さを残さず,よりはっきりさせたい場合にInclusive/Exclusiveを使用することがあります。
つまり,15日を含める場合には,15th of March (Inclusive)とし,逆に含めない場合には15th of March (Exclusive)とすることがあります。
基本的に,上記のようなbyやon or beforeなどの本来の表現のみによって正確な意味は表せるのですが,曖昧さを避けるために利用されると理解すれば良いと思います。
英文契約書を使用する際は,英語を母国語とする国の企業以外の企業と取引するということもあります。
この場合,相手が英語の表現や文法を正しく使用しているか,理解しているかは正直わかりません。
もっと言えば,例え英語ネイティブだとしても,契約書上の形式張った表現について,正しい表現や理解ができるかどうかは怪しい場合もあるでしょう。
このような観点から,正しい文法的理解を安易に前提にせず,より誤解がないように詳しい表現をするということは,国際取引で使われる英文契約書ではよくあります。
英文として美しいのは過不足がなく,蛇足表現がないものかもしれませんが,こと英文契約書に関しては,契約書であるがゆえに,くどくなったとしても誤解がない一義的な理解を目指すのが正解と言えるでしょう。
日本語でも,「以下」と「未満」などで混乱がないようにするということがあると思いますが,それと同じことです。
なお,exclusiveは上記のような使われ方以外にも,exclusive distribution agreementなど,「独占的」契約を表現する用語としてもよく使われます。
この意味でexclusiveが登場した場合,一般的には,指名された販売代理店など以外は,その商品を特定地域で扱えないことを意味します。
つまり,いわゆる「総代理店」がこの意味のexclusiveで表されることになります。