Represent and Warrant(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Represent and Warrantという用語があります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「表明し保証する」という意味で使用されます。
例えば,M&Aの際に,株式の譲渡人側が買収対象会社に簿外債務や訴訟リスクなどがないことを表明保証するなどというものが典型的な例です。
また,ライセンシーがサブライセンス契約を締結するような場合などに,ライセンシーがライセンサーから,そのようなサブライセンス契約を締結してサブライセンスに出せることを許諾されているということを表明し,保証するというような場面でも登場します。
そして,表明し保証した内容に誤りや不正確な部分があれば,後に表明保証を行った当事者に対して相手方当事者が損害賠償請求や契約の解除ができるなどと規定するのが通常です。
もっとも,このような表明保証に違反があった場合に,契約書上,損害賠償請求や契約解除ができるとしていても,もうすでにビジネスは進んでしまっています。
なので,契約解除をしてしまうとビジネス自体が頓挫してしまうことになってしまいますので,契約解除は現実的な救済手段にはならないことがあります。
また,損害賠償請求についても,M&Aなどで,例えば,個人の譲渡人から株式を譲り受けた場合などで当該譲渡人に資力=支払能力がないようなケースでは,損害賠償請求は現実的には機能しません。
したがって,表明保証条項+表明保証違反の場合の救済手段条項を定めたからと言って当然安心はできません。
表明保証以外にも,連帯保証を検討したり,そもそも表明保証に頼ることがないようにDue Diligence(DD: デュー・デリジェンス)を十分に行ったり,その他の手当も検討する必要があります。
Due Diligence(DD: デュー・デリジェンス)とは,例えばM&Aであれば,買収対象会社に法務や財務的な問題がないかどうかを,買収実行前に調査・確認する作業です。
あくまで表明保証は最後の手段という位置づけで,それ以前に行うべきことをすべて行っておくという姿勢のほうが大切だと思います。
とはいえ,何か問題があった場合に備えて表明保証をさせることも重要ですので,DDなど十分に行った上で,表明保証条項を入れるということは大切です。