Affiliate(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Affiliateがあります。
Affiliate(アフィリエイト)は,英文契約書で使用される場合,通常,「関連会社」,「関係者」などの意味で使用されます。
Affiliate(アフィリエイト)という用語は,通常,英文契約書において,どういう意味で使用されるか,定義されますので,その定義の内容を把握することが大切です。
資本関係がある関連会社を意味することもありますし,当該会社の役員,従業員などの利害関係人を指すこともあります。
例えば,The Seller defends, indemnify and hold harmless the Buyer, its officer, employee...("Affiliate")などと使用されます。
上記英文の和訳は「売主は,買主,その役員,従業員...(以下「アフィリエイト」という。)を防御し,補償し,損害を与えないものとする。」となります。
この場合は,役員や従業員の利害関係人をAffiliate(アフィリエイト)と呼称していることになります。
関連会社の意味で使用される場合,何パーセントの出資比率で関連会社となるのかについても通常記載されていますので,確認することが大切です。
多くの国で出資比率が50%超(過半数)をもって親子会社としているため,50%超の保有率をもってAffiliate(アフィリエイト)としている契約書が多いと思いますが,必ずしもそうはなっていないので,きちんと定義を確認しましょう。
関連会社の定義次第で,関連会社の範囲が定められ,この範囲は,例えば,業務の再委託が可能な範囲や,機密情報の開示ができる範囲などに影響することがあります。
国際取引では,日本とは異なる法律が適用される外国企業との取引になりますから,親子会社やグループ企業の法律上の定義が日本とは違う可能性があることは容易に想像できます。
そのため,何をもってAffiliate(アフィリエイト)というのかについては,契約書に明確に記載しておくことで誤解の可能性を排除することが大切になります。
特に秘密保持契約の場合,開示できる範囲を予め契約書に明記しておかないと,例えグループ企業であってもあくまで別法人ですので,グループ企業に対する情報開示は守秘義務違反となってしまいます。
したがって,秘密情報をグループ企業と共有するという場合は,事前に契約書にそれが可能であることを記載しておくことをおすすめします。
契約書にグループ企業への開示許諾の記載がない場合は,グループ企業は「第三者」となってしまうため,相手方の書面の承諾を別途得てグループ企業に秘密情報を開示しなければならず,手間がかかることになるので注意が必要です。
反対に,Affiliate(アフィリエイト)に秘密情報を開示される側の当事者は本当にグループ企業に開示する必要があるのかを精査し,必要以上に秘密情報を共有されないようにチェックする必要があります。
案件に関わらないグループ企業があるならそれは排除してあくまで必要最低限の範囲に秘密情報が共有されるようにしなければなりません。
いくら資本関係があるからといっても,契約書の案件に関わりが一切ない企業にまで情報を共有させる必要性がないですし,開示の範囲が広がれば広がるほど,情報漏洩のリスクが高まるからです。