Not unreasonably withhold(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Not unreasonably withholdがあります。
これは,英文・英語契約書で使用される場合,通常,「不合理に拒否しない」という意味で使用されます。
例えば,英文の基本売買契約においては,一般的に,売主は,買主から発注があったとしても,これを受注する義務を負うものではありません。
つまり,買主が,製品100個の購入を発注しても,売主は,在庫の都合や生産の都合などにより,拒絶しても,契約違反を問われるものではないということです。
基本売買契約書や基本取引契約書は,あくまで個別の売買をする際にいちいち詳細な条件を取り決めるのが煩雑なため,まとめてこういう条件で取引しましょうと予め取引条件を定めておくというのが主目的です。
そのため,売主が買主の注文を受けなければならないという結論は直ちに導かれないのです。
ただし,買主の立場からすれば,転売についての努力義務が契約上課されていたり,場合によっては最低購入数量(Minimum Purchase Quantity)などが定められていたりしますから,発注通りに受注してもらえないと困る場合があります。
何より,買主としては,多くの製品を販売しなければ大きな利益を得ることができません。
このあたりの事情を調整するために,Not unreasonably withholdという表現が英文・英語契約書で使用されることがあります。
例えば,Seller is not obliged to accept Buyer's orders under this Agreement; provided, however, that Seller shall not unreasonably withhold acceptance of such orders.(売主は,買主の注文を受諾する義務を負うものではないが,これらの注文について不合理に受諾しないということはしてはならない。)などと英文・英語契約書に登場します。
どういう理由がUnreasonableなのかについては,一義的に明らかではないですが,在庫計算のミス,売主の問題による製造の遅延などが理由となれば,場合によっては,Unreasonableな事由になるかもしれません。
こうすることにより,不合理な理由をもって売主は買主の注文を拒絶できなくなりますので,買主の地位はより安定することになります。