Right of First Refusal(英文契約書用語の弁護士による解説)
英語・英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Right of First Refusalがあります。
これは,英語・英文契約書のうち,Shareholder Agreement(株主間契約)やJoint Venture Agreement(合弁契約)などでよく見かける用語です。
直訳すると,「最初に拒否する権利」ということになります。
簡単にいうと,ある会社に投資した株主が,自己の株式を第三者に譲渡したいという場合は,その第三者に譲渡する条件と同一の条件で,まずは他の既存株主に対し,同株式の買取りをオファーしなければならないというような内容です。
例えば,X会社にAとBが投資をして,それぞれ70%と30%の株式を所有していたとします。
この場合に,Aが自己の株式の51%を第三者Cに売却したいと考えたとします。もしこれが実現すれば,既存株主であるBは,見ず知らずのCに過半数を握られてしまいます。
例えば,このような事態を避けるために,AかBが第三者に株式を譲渡しようとする場合は,まずは,相手方当事者に買取りを促さなければならないと定めます。
これは,逆にいうと,相手方は最初に拒否する権利を有しているということになります。
そこで,この権利をRight of First Refusalと呼ぶわけです。
上記の例で,仮に,BがAからオファーされた株式の買取りを拒否したとします。
そうすると,そこではじめて,AはCに対して自己の保有株式を譲渡することが可能になります。
この場合,通常,AはBに一旦提示した条件よりも有利な条件でCに株式を譲渡することが禁止されています。
逆に,BがAのオファーを受け入れて株式の譲受を決定すれば,AはBに対して売却することが強制されます。
このような権利をShareholder AgreementやJoint Venture Agreementでは,Right of First Refusalなどとして規定することが多いのです。
共同出資者として会社を保有する以上は,勝手に会社の経営を支配できる株主が変更されては困るのでこのような規定が設けられるのです。