英文契約書の相談・質問集7 裁判管轄はどこにしたら良いでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「裁判管轄はどこにしたら良いでしょうか」というものがあります。

 

 これは,結論としては,ケースバイケースということになるのですが,検討する際に一応指針となるような考え方はあります。

 

 一般的には,自国の裁判所の方が訴える場合を考えても,訴えられる場合を考えても有利ということになるでしょう。準拠法が自国となっていれば,慣れ親しんだ法律に基づき,自国の弁護士に訴訟対応してもらえるということになるからです。

 

 なお,仲裁手続きを選択するということも考えられますが,ここでは,便宜上,裁判の管轄を念頭において検討したいと思います。

 

 しかし,契約をするということは,常に相手方がいます。そして,相手方も自国の裁判所における解決を望むことが多く,交渉が平行線をたどるということはよくあります。

 

 こうした場合にどうしたら良いかという質問をよく受けます。

 

 他の条件を交渉材料にしながら,自国の裁判所の管轄権を譲らないという交渉もありえます。しかし,相手が頑なである場合,管轄条項がネックとなり,ビジネスが前に進まないこととなってしまいます。こうしたことは避けたいものです。

 

 このような場合の選択肢としては,例えば,第三国の裁判所に管轄権を付与したり,被告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与したり,逆に原告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与したりということが考えられます。

 

 なお,管轄を自国の裁判所とするという規定を置くと,相手方の国次第では,この条項が無効となったり,準拠法を日本法とするという規定が無効となったりということもありますので,このようなことも考慮する必要もあります。

 

 第三国の裁判所に管轄権を付与するというのは,フェアであり,受け入れやすいということはあるかもしれません。

 

 被告となる当事者の地の裁判所に管轄権を付与する(被告地主義)というのは,どちらが訴訟提起の必要性や可能性が高いかという視点で検討することがあります。

 

 例えば,日本側のクライアントが売掛金の回収などの必要性から,相手方を訴える可能性が高いということであれば,一般的には,訴訟提起の難易度を下げるため,自国の裁判所に管轄権を付したいとなるかもしれません。

 

 しかし,最終的な現地での強制執行のことを考えれば,現地の裁判所で判決を得,そのまま執行をかけるために,あえて被告地主義を採用するということもあるでしょう。

 

 逆に日本のクライアントが訴えられる可能性を考える場合には,訴訟提起のハードルを高くするため,被告地主義にするという視点もあるでしょう。

 

 そもそも裁判ではなく,仲裁を選択するなら,ニューヨーク条約による執行を考えて,被告地主義は避けるという考えもあるでしょう。

 

 このように,当該事案を離れて,一般的・抽象的にどこに裁判管轄権を付与したら良いのかということを考えるのではなく,当該取引の性質・内容,取引規模,相手国の司法制度や強制執行制度,訴訟提起の可能性とその内容などを総合的に考慮して,ケースバイケースで交渉するというのが現実だと思います。

 

→next【英文契約書の相談・質問集8】 準拠法と裁判管轄を日本にしておけば安全ですよね。

 

 

 

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