Failure(英文契約書用語の弁護士による解説)
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Failureがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「故障/障害」という意味で使用されます。
何らかのソフトウェアやシステムなどを提供するサービスを行っている企業は,そのシステムに障害が生じて使えなくなった場合の対応について契約書で取り決めることが多いと思います。
この障害を表現するときに,Failureという英文契約書用語を使用することがあります。
ソフトウェアやシステムを提供していると,システムダウンの際に顧客が大きな損害を被る可能性があるので,この点のケアが欠かせません。
例えば,顧客がそのシステムを使って商品の販売管理,顧客情報の管理などをしていたとすると,一時的にシステムが使えなかったとなると,機会損失が生じてしまいます。
障害がなければ商品がこの程度売れていて,利益がこれだけ見込めたはずだからその分を逸失利益として請求されるということがありうるのです。
そのため,システム提供者としては,このような損害賠償については行わず,システム障害により発生する損害については免責されると契約書に定めることがよくあります。
このように,Failureは障害などを表す用語のため,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際にこの用語が出てきたら,責任範囲や損害賠償等に言及されている可能性が高く,重要な内容となっていることが多いので,注意が必要です。
また,failureはもう一つ重要な意味を持っていて,それは「…しないこと」という意味です。
Failの名詞形で,fail to do...で「...しない」という意味を持ち,契約違反・債務不履行を表す表現としてよく契約書で使用されます。
Failure to do...で「…しないこと」という意味になり,契約違反の事実・債務不履行の事実を表現できます。
こちらも登場した場合は,契約違反や債務不履行が起こった場合の効果などが書かれている可能性が高く,重要な内容になります。