Duty of care(英文契約書用語の弁護士による解説)
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Duty of careがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「注意義務」という意味で使用されます。
注意義務といってもどの程度の注意義務なのかというのが問題になります。
英文契約書にDuty of care(デューティ・オブ・ケア)という用語があれば,あくまで日本法の感覚になりますが,日本法における近い概念は,善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)になると思います。
善管注意義務は直訳すると,Duty of care of a good managerとなりますが,単にDuty of careとなっている場合も,この善管注意義務とほぼ同一の内容を指していると考えて,多くの場合差し支えないと思います。
この善管注意義務を尽くしているかは,その職業や専門家としての能力,社会的地位などから考えて通常期待される注意を払っているかどうかが基準になるイメージです。
もし,Duty of careをもって一定の義務を尽くさなければならないと契約書に書いてあるのに,通常払うべき注意を怠ったということになれば,債務不履行責任を生じることになります。
業務委託契約書においてDuty of careをもって業務を遂行すると定められたり,Duty of careをもって秘密情報を管理すると定められたり,この用語は英文契約書によく登場します。
注意義務の程度は重要な問題ですので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,注意義務の程度を表す用語には注意しておく必要があります。