Indefinitely(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Indefinitelyがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「無期限に」という意味で使用されます。
契約の効力や条項の効力を,期間のしばりなく,無期限にしたいということがあります。
その場合に,このIndefinitelyという用語が使われることがあります。
もっとも,契約期間を無期限と定めた場合,準拠法(その契約関係に適用される国の法律)によっては,期間の定めのない契約=いつでも解約できると解釈される可能性があるので注意が必要です。
こうなると,当事者は,Indefinitely(無期限)=永遠に続くというつもりで文言を作成したところ,実際には相手方当事者が契約を解約すると通知してくれば,いつでも契約が終了してしまうとなってしまうおそれがあります。
そのため,契約期間を設けずに,Indefinitely(無期限)と定める場合でも,契約の終了条件は定めておくのが無難といえます。
例えば,各当事者が半年以上前に相手方に対し書面により契約を終了させる旨を通知した場合には終了するなどと定めることが考えられます。
場合によっては,契約の終了を希望する当事者が金銭的な補償をしなければならないなどと定めることもあるかもしれません。
これにより,突如一方的に契約を解約されることを防ぐことができ,万一契約が終了することになったとしても終了までに時間的猶予があったり,金銭的な補償があったりすることになります。
このように,当事者がこういうつもりで定めたという意図と,実際の法的な効果が一致しないということはよくありますので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には十分に注意する必要があります。
特に,国際取引では,取引先が外国企業なので,準拠法が取引先が属する外国法になる可能性があります。
そうすると,その外国法において当事者が取り決めた内容のとおりの効果が認められるかどうかが日本企業にとって直ちにはわからないということが起こりえます。
この場合,現地の外国法の資格を有する弁護士に事前に確認し,契約書に記載された内容のとおりに効果が生じるかどうかを審査してもらう必要があることもあります。