Competing product(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Competing productがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「競合品」という意味で使用されます。
独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)では,サプライヤーとしては,販売店(Distributor)対し,一定の地域内における自社商品の独占的な販売権を与えるわけですから,競合他社の製品を扱わず,自社製品の販売に全力を尽くしてほしいと考えるのが普通でしょう。
そのため,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)においては,販売店(Distributor)の競合品(Competing products)の取扱いを契約書で禁止することががあります。
この競合品の取扱い禁止規定(Non-competition Clause)において,このcompeting productsという表現が使われることがあります。
なお,①非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)なのに,販売店(Distributor)の競合品の取扱いを禁止したり,②契約期間中だけではなく契約終了後も競合品の取扱いを禁止したり,③契約締結時にすでに販売店(Distributor)が取り扱っている競合品までも取扱いを禁止したりするとなると,独占禁止法や競争法に抵触する可能性がありますので,注意して下さい。
これらの競合品の取扱い禁止は,禁止の目的に合理性がない場合が多く,サプライヤーが不当に市場を独占する意図を持ってこのような禁止をすることが類型的に多いと考えられるのため,違法となりやすいのです。
競合品の取扱い禁止は,サプライヤーにとっては,他社製品を扱わず自社製品に集中した販売をしてもらえるので基本的にメリットがあります。
しかしながら,独占禁止法・競争法などの法律に違反する可能性がありますし,必ずしも販売店(Distributor)が競合品を扱わないことがサプライヤーの商品の売上を伸ばすということでもないというデメリットもありますので,このような規定を入れるかは吟味したほうが良いかと思います。