タイの法制度

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 日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してタイに進出する際,以下のようなタイの法制度に注意したほうが良いでしょう。

 

 ① 販売店(代理店)保護法

 タイには,いわゆる販売店(代理店)保護法として独自に販売店や代理店を保護するために制定された法律は存在していません。

 

 そのため,販売店契約を締結した場合に,契約の終了をするのに一定の猶予期間を設けなければならないなどの制約は直接的には定められていません。

 

 日本の民法・商法に相当するタイの法律には販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される法律で,いわゆる「強行法規/強行規定」として,当事者の合意に優先して適用される重要な内容は,原則としてないと考えて良いかと思います。

 

 そのため,タイの法律とは異なる内容でも,契約書で明確に定めておけば原則として契約書の内容のとおり効果が認められると考えて良いでしょう。

 

 したがって,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある

①中途解約条項,

②債務不履行解除条項,

③契約期間の満了による終了条項(更新拒絶条項)

なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えて良いかと思います。

 

 また,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがありますが,この類の請求は一切認められない旨を契約書に記載することも多いですが,この点に関してもこれを禁止するような法律の内容はないと考えて良いでしょう。

 

 ② 登録制度

 タイでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。

 

 そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。

 

 ③ 言語

 契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。

 

 ④ 準拠法・紛争解決

 タイでは,準拠法をタイ法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。

 

 ただし,紛争解決については,日本の裁判所の判決をそのままタイ国内で執行することはできないため,強制執行を考えると日本の裁判所以外の手段が良いかもしれません。

 

 また,タイの司法制度は残念ながら成熟しているとはいい難い面があると指摘されているため,タイの裁判を紛争解決手段として選択することもあまりおすすめできません。

 

 そのため,日本企業とタイの企業との間の販売店契約の場合,実務的には,第三国であるシンガポール法を準拠法とし,シンガポール国際仲裁センター(SIAC)を紛争解決機関として選定するということも多く行われています。

 

 以上が,日本企業がタイ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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