英文契約書の相談・質問集350 自動更新条項にする際の注意点はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「自動更新条項にする際の注意点はありますか。」というものがあります。

 契約をする際,多くの場合は,契約期間を定めると思います。

 

 そして,契約期間が満了した場合に,契約がそのまま終了するのか,それとも,契約更新をしない旨をどちらかの当事者が相手方に通知しない限り,自動的に契約が更新されるのか,どちらかと定めることが多いと思います。

 

 ここでは,後者の自動更新条項を入れる場合の注意点を解説したいと思います。

 

 上述したとおり,自動更新条項は,通常,「当事者の一方が相手方に対し,本契約満了の日のX日前までに,書面により本契約を更新しない旨を通知しない限り,本契約はX年間自動的に更新されるものとし,その後も同様とする」などと定められています。

 

 つまり,当然ですが当事者がその契約について何もせずに放置していると自動的に契約が更新され続けて終了しないことを意味します。

 

 逆に,自動的に更新されず,原則として契約は期間満了により終了するが,当事者の合意があれば契約が更新されると定められていれば,当事者が放置していれば契約は終了することを意味します。

 

 何が言いたいかと言うと,前者の自動更新の場合は,当事者がその契約の存在を忘れていて放置していた場合,契約が延々と継続し,思わぬトラブルを招く可能性があるということです。

 

 「契約したことを忘れるなどという馬鹿げた話があるか」とお思いになるかもしれませんが,実施にこのようなことは企業でも起こります。

 

 取引が続いていて発注・受注が行われているときは忘れることはないでしょうが,取引が一旦停止状態になると,契約の存在が忘れ去られることがあるのです。

 

 例えば,担当者がやめてしまったり,代表者が交代したりして,当時の契約のことを記憶しているものがいなくなったり,文書管理が十分でなかったり,データの整理の際に現に動いていない契約の存在が消去されてしまったり,と原因は色々とあります。

 

 こうなると,当事者が契約の存在を認識しないまま時が経過してしまいます。

 

 契約の存在も忘れ,実際に取引もしていないので,特に問題はないのではないかと考えられるかもしれませんが,時々問題を生じます。

 

 例えば,契約書に記載された一定の要件を充たしてしまい,費用,ロイヤリティ,代金の請求権が発生していたりすることがあるのです。

 

 そして,相手方がしばらくしてから契約の存在に気づき,これまでの分を請求してきて,契約の存在が忘れられていたことが発覚するというパターンです。

 

 こうなると,契約が更新により存続していて,請求権の発生要件も充たしている以上,消滅時効にでもかかっていない限り,請求を拒めないということになってしまいます。

 

 このように,自動更新条項は更新するには便利である一方,取引が停止して存在を忘れていても自動的に知らずに更新が繰り返されていて,後に思わぬ問題を引き起こす可能性があるのです。

 

 したがって,契約の終了について定める際には,安易に自動更新を選択するのではなく,状況によっては,合意によって更新するようにするほうが適切なことがあることを理解しておきましょう。

 

 もちろん,契約の管理体制をきちんと整え,契約の存在が認識されなくなってしまうような事態を避けるべきであることも言うまでもありません。

 

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