英文契約書の相談・質問集332 英文契約書はAI・自動翻訳で翻訳すれば十分ではないですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書はAI・自動翻訳で翻訳すれば十分ではないですか。」があります。

 

 確かに,最近はAIを使った自動翻訳のソフトなどの性能が一昔に比べて格段に良くなりました(2020年時点)。

 

 ただ,私も使ったことがあるのですが,率直に言って,こと契約書の翻訳に使うには,まだ実用レベルにないと感じています。

 

 例えば,英文契約書を自動翻訳ソフトを使って,概要だけ意味を把握するというレベルでは良いかもしれません。

 

 ところが,英文契約書の意味を正確に把握しようとしたり,まして自動翻訳ソフトがした英文契約書の和訳を和文契約書として使ったりという場合は,正直実践では使えないでしょう。

 

 やはり,契約書は複雑な表現が多いのと,一文が長文になる傾向があるため,自動翻訳には間違いが多いですし,訳文の意味が通らない表現も多く出てきてしまいます。

 

 これが例えばビジネスの企画書のようなもので,だいたい意味を把握できれば意思決定ができるというものであれば,自動翻訳などで十分対応できると思います。

 

 ただ,契約書は,その内容が権利義務や効果を決めてしまう極めて重要な文書です。

 

 そのため,大意を理解したからといって,その内容でサインしてしまって良いということにはなりません。

 

 必ず,正確かつ緻密な理解をしたうえでサインするかどうかを判断する必要があります。

 

 また,そのままではサインできないのであれば,正確な理解をしたうえで,正確な表現で修正を施さなくてはいけません。

 

 ましてや,もともとが英文で書かれた契約書であるのに,和訳をして,それを和文契約書として使用したいというときは,元の英文契約書と内容ができるだけ完全に一致していないと大きな問題を生じる可能性があります。

 

 例えば,日本の販売代理店が,アメリカ本社が提供している英文契約書と同じ内容の和文契約書を作成して,これを日本の顧客に提示していたとしましょう。

 

 ところが,和文契約書が英文契約書を正確に反映していないと,日本の顧客から来たクレームに対して,アメリカ本社と販売代理店との英文契約書ではアメリカ本社が免責されているのに,日本の販売代理店は日本の顧客に責任を負うことになったりしてしまうことがありうるのです。

 

 こうなると,日本の販売代理店が顧客に賠償した金額をアメリカ本社に請求することができず,販売代理店の単独の損失となってしまいます。

 

 このことは,和文契約書を英訳して英文契約書を作成して使う際にも同様に当てはまります。

 

 和文契約書の意味を正確に英訳して契約書にしないと,日本企業が考えているとおりのリスク評価とリスクマネジメントができない結果となることは容易に想像できると思います。

 

 もちろん,あくまで締結には英文契約書を使いつつ,意味を把握するためだけに契約書を和訳するというケースもあると思います。

 

 この場合でも,翻訳が間違っていたり,不正確であったりすると,リスクやリターンの把握に誤りがあることになってしまい,後で大きな損失を招く危険があります。

 

 このような事態を回避するためにも,契約書の翻訳は重要なのですが,自動翻訳で作業を最初から最後まで完了させるには,まだ性能に問題があると思います。

 

 契約書英語ができる人が社内にいて,その人が最初から全部を翻訳するのは大変なので,最初に自動翻訳を使い,それを契約書英語に堪能した人が最終的にチェック・修正していくということであれば使用する価値はあると思います。

 

 ただ,契約書英語ができる人が最後に責任を持って修正するという作業をせずに,AI・自動翻訳だけで契約書の翻訳を完了させるということは危険が大きいのでやめたほうが良いかと思います。

 

 AI・自動翻訳機のみで契約書の翻訳作業を完了させることができる未来はもう少し先になるかもしれません。

 

→next【英文契約書の相談・質問集333】リスト規制・キャッチオール規制とは何ですか。

 

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