Perfection(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Perfectionがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「対抗要件」という意味で使用されます。
Perfection against a third partyで「第三者対抗要件」という意味になります。
対抗要件というのは,簡単に言うと,契約当事者の間で成立した法律関係を当事者以外の第三者に対して主張できるための要件のことを指します。
例えば,お金を借主に貸した借主が担保として借主の自宅に抵当権を設定したとします。
この抵当権の設定自体は,貸主と借主との間で「抵当権設定契約」という契約を締結すれば設定することが可能です。
ところが,借主が貸主に借金を返済しきらないままこの自宅を第三者に売却してしまったとします。
この場合でも,貸主は借主の自宅に抵当権をつけていますので,借主が期日までに借金を返済しないなら自宅を競売にかけて売却して貸金の回収を図りたいところです。
ただ,新しい自宅の買主は,借主から自宅を購入する際に,貸主との間で抵当権設定契約が締結されているなどと聞かされておらず,抵当権の存在を知りませんでした。
この場合にも,自宅の買主は貸主に自宅を売却されてしまうのでしょうか。これが第三者対抗要件の問題です。
この場合,自宅に抵当権の設定登記をきちんとしていれば,新しい自宅の買主(第三者)に対しても,貸主は抵当権の存在を主張(対抗)できるので,不動産を競売にかけることが可能です。
登記は誰でも見られるので,買主は不動産の購入前に登記簿をチェックして抵当権の存在を知ることができますから,登記していたのであればその負担を受けるのがフェアというわけです。
反対に,登記をしていないければ,抵当権の存在は不動産の買主には知り得ない可能性があるので,貸主は不動産の買主に対して抵当権を主張できないということになるのです。
このように,自分が持っている権利関係を契約した当事者以外の者に主張するためには対抗要件(perfection)を具備しなければならないことがありますので,各国の法制度を調査しつつきちんと取得しておかなければなりません。