英文契約書の重要性と翻訳だけでは危険な理由

 

 

なぜ英文・英語契約書を作成・リーガルチェックしなければならないのか

 

 

 企業間取引における英文・英語契約書は,当事者がそれぞれ相手方に求めること(権利)と,反対に自分がしなければならないこと(義務)を定めるものです。 

 

 

 国内の取引で信頼できる当事者であれば,このような権利と義務をわざわざ書面で定めずともビジネスは円滑に進むかもしれません。

 

 

 しかし,突如,今まで信用していた海外取引先の営業パフォーマンスが低下したり,義務を履行しなくなったり,不当な値上げ要求などをしてくるようになったりと問題が生じた場合は,どうでしょう。

 

 

 この場合,締結した英文・英語契約書があればそれを見て,自社に有利な主張ができないか,契約書に根拠を探し交渉することできます。 

 

 

 相手方が契約を守らない時にどのようなことができるのか,相手が一見不当な要求をしてきている場合に,そのような要求を受け入れる,または検討する義務があるのか,これらが英文・英語契約書に書いてあれば,通常そのとおりに対応することになります

 

 

 しかし,英文・英語契約書に書いてない,または,契約書がない場合は,どうなるのでしょう。通常は,条約や準拠法などの内容に従うことになります。そもそも,その法律がわかりますか。その国の弁護士にアクセス可能でしょうか。



 その法律を適用する結果は貴社に有利なものですか,納得できるものでしょうか。裁判例で判断が別れているような事項を含んでいませんか。どのようにどういう根拠で自社に有利な主張ができますか。


 

 このように,途端にチェック項目が増え,コストも膨大になってしまいます。そのため,英文契約書は重要なのです。

 

 

 契約は結婚によく例えられ,「結婚するときに離婚時の取り決めなどする必要はない」と考えられがちです。その結果,「紛争の際には当事者は双方円満に話し合い解決する」などとしてしまうことがありますが,離婚時に円満に話し合うことが困難なように,契約でも同様です。

 

 

 最初のコストを節約するために,リーガルチェックをせずに英文・英語契約書にサインしたがゆえに,後に海外で3年にわたる訴訟に巻き込まれてしまったということが実際に起こっています。

 

 

 契約書に書いていないことについて,外国企業との間で口頭で言った言わないということになれば,大変な事態となることは容易に想像がつくと思います。また、国によってはParol Evidence Rule(口頭証拠排除法則)等の適用により,英文契約書に書いていない約束が認められないということもあります。

 

 

 英文契約書のリスクを除去・軽減することで,安心して本来のビジネスに集中できる状況を作り,着実に利益を上げられるようにすることが重要です。

 

 

 そのため,もれなくリスクを検討し,英文契約書にそれに対する対処法を明確に記載しておく(リーガルリスクマネジメント)が重要なのです。一般に英文の契約書が和文のものに比べて長文であるのは,この点に理由があります。

 

 

 なぜ特に英文・英語契約書ではリーガルリスクマネジメントが重要なのか

 

 

  企業間取引における契約書の中でも,特に,英文・英語契約書は,相手方のフォームをそのまま鵜呑みにしたり,ひな形に従って穴埋めをすることで作成してはならないものです。

 

 

  なぜなら,多くの場合,コモン・ローの考えを基礎にして英文・英語契約書が作成されますが,それぞれ帰属する法体系・商慣習を異にする企業がこうした英文契約書を締結するため,国内の契約に比べて遙かにリスクが高まるからです。

 

 

 英文契約書・英語の作成にあたっては,日本法の下とは異なる英語で書かれた条項の「意味」(翻訳とは異なります)と「リスク」を正しく理解する必要があります。

 

 

 また,貴社の要望を英文・英語契約書に挿入する場合も,正しい表現で行わなければ,意味が無いか,リスクが高まることさえあります。 

 

 

 例えば,販売代理店契約書(Distribution Agreement)に,Sales Targetという用語が書かれていたとします。これは,日本語でいう「販売目標」ということになり,達成できなくても仕方のない目標なのか,それとも,達成できないとペナルティが生じるものなのか,単に「販売目標」と和訳してもわからないということになってしまいます。

 

 

 したがって,書かれた内容についていずれの解釈もありうるという曖昧な状況にすることは避けなければなりません。

 

 

 特に,「取引基本契約書」のようなビジネス開始時の英文・英語契約書は非常に重要です。

 

 

 逆に言えば,最初に専門家のチェックを経たきちんとした英文・英語契約書を作成しておけば,2回目以降の取引は,必要な箇所をカスタマイズすれば使用できますから,最初が肝心です。

 

 

 たとえ,典型的な販売契約を締結するのであっても,取引における当事者の力関係により頻繁に挿入されるリスクの高い条項などが数多く存在するものです。

 

 

 これらに気づかずに,あるいは当事者間の信頼関係に依拠し,問題ないだろうと判断し英文・英語契約書を締結したが,後にリスクが顕在化し,大きな損害が生じるということは珍しくありません。

 

 

  また,英文・英語契約書において,外国法を適用法としたり,外国の裁判所に裁判管轄を付与すれば,リスクはより高まることは明らかです。 

 

 

なぜ翻訳だけでは駄目なのか(専門家に依頼する理由 

 


 英文・英語契約書を和訳して意味を把握したいという方もいらっしゃると思います。

 

 

 しかし,翻訳業者に依頼するなどして英文・英語契約書を単に日本語に翻訳するだけでは危険です。

 

 

 なぜなら,英文・英語契約書は,単に英語で書かれた契約書ではなく,コモン・ロー(英米法)の考えや,時に相手方の準拠法に基づいて作られていますから,日本語に直しただけでは,契約書に書かれたリスクを「理解する」ことにはならないからです。



 また,英語が得意な方であれば,英文契約書に書かれた内容をある程度理解することはできると思いますが,契約用語や法律に詳しくない場合は,意味を誤解したり,実は大きなリスクがある内容を見逃してしまったり,絶対に書かれていなければいけない内容が書かれていないことに気づかないという事態が生じえます。



 専門家の意義は,英文・英語契約書のどこをどのように注意して見れば良いのかを理解している点にあるといえるでしょう。どこにどのように注意するのか理解せずに英文契約書を検討しても「リーガル」チェックにはなりません。


 

 また,英文・英語契約書のタイプによっては,前提として契約書にサインする前に弁護士(Counsel)に相談して内容を正しく理解したことを表明させる条項が入っていることもあります。これにより後で内容がわからなかったなどと言えないようにするためです。

 


 また,和文契約書を英訳して英文契約書として使用したいという方もいらっしゃると思いますが,これも同様に危険です。



 和文契約書を英訳して英文の契約書として使用する危険性は,あくまで和文契約書は日本法に基づき,日本の文化・取引慣習に従って作られていますので,これをそのまま英訳しても,国際標準にならないためです。



 私の経験でも,和文契約書を英語に訳しただけの契約書は,相手方が理解できずサインを拒絶されたり,大幅な修正要求や,多数の質問が出され交渉が長期化するということがよくあります。



 つまり,貴社の要望を英文の契約書に反映する際には,日本語の契約書にあるような条項を英訳すれば足りるものではなく,単なる英訳とは異なるコモン・ロー概念に従った英文・英語契約用語を使用する必要がありますし,英米法の観点からの条項の作成・リーガルチェックが必要となります。

 


 そうでなければ,規定内容に間違いが生じる可能性があるばかりか,交渉の際に相手方から軽視され,気づかないうちに非常に不利な契約を結んでしまうこともあります。また,和文契約書を英訳しただけですと,表現などが日本のもののため,相手方にサインを拒絶されることもよくあります。

 

 

 ビジネス開始段階ということもあり,コスト面も気になるとは思いますが,契約締結段階でリスク・ヘッジを行う手間とコストと,後に法的リスクが現実のものとなったときに対処する手間及びコストとを比較すれば,そこに相当の差があることは否めませんのでしっかりとしたリーガルリスクマネジメントが必要といえるでしょう。


 

  また,経営者や担当者が法務リスクで迷ったりすることは,最も重要な経営資源である時間を無駄にすることになりますので,この無駄を省き,経営者・従業員の本来の仕事に時間を集中し,成果を最大化することが可能になります。

 

   

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