For whatever reason(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,For whatever reasonがあります。
これはregadless of the reasonとほぼ同じ意味で使用されます。
通常「理由・原因にかかわらず」という意味で使われます。
たとえば,「理由を問わず本契約が終了した後も3年間は守秘義務が存続する」などという文脈でよく用いられます。
契約の終了原因は複数考えられます。契約期間の満了による終了もあれば,相手方の契約違反を理由として解除されて終了するということもあります。
こうした終了の原因が何であるかを問わず,およそ契約が終了した場合すべてに適用されるというような内容を規定する場合に登場することがあります。
たとえば,The duty under this Article shall survive the termination of this Agreement for whatever reason...(本条に定める義務は理由を問わず本契約終了後も存続する・・・)などと使用されます。
逆に,契約終了による補償条項などは,契約終了の原因によって生じたり,生じなかったりする場合が多いでしょうから,そういう場合にはfor whatever reasonという言葉は挿入されず,原因を限定するのが通常です。
たとえば,ベンダーが販売店に販売店契約終了時に補償をするという条項があったとしても,契約の終了が販売店の債務不履行を理由とする解除だった場合にも補償をするとは通常規定しないでしょう。
そのような場合は,むしろ但し書きでprovided, however, that this is not applicable to termination for any breach of the provisons under this Agreement by the Distributor(ただし,本条項は販売店の契約違反を原因とした本契約の終了の場合には適用されない)などと定めるのが通常でしょう。