英文契約書 Sales Agreement(売買契約)

 

 

 Sales Agreementとは,いわゆる売買契約書のことです。

 

 

 試験的な目的などで,商品を1回限り売買するときによく用いられる英文契約書です。Sales Agreementを作成するときに注意すべき点は以下のとおりです。

 

 

 ウィーン売買条約の適用の有無

 

 日本も加盟しているいわゆるウィーン売買条約(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods(CISG))の適用がある場合,これを排除するのかどうかを決定します。

 

 

 中国を含め,ウィーン売買条約の加盟国は増えていますので,日本企業が加盟国と売買契約を締結する場合は,ウィーン売買条約に留意しなければなりません。

 

 

 日本法や英米法の定めとは相当に異なる内容が定められていますので,同条約の全部または一部の適用を排除するのであれば,その点明確に定める必要があります。

 

 

 危険負担・引渡し・所有権の移転時期

 

 外国企業と売買契約を締結するときは,商品をどこで引き渡し,どの時点で所有権が移転し,危険負担が移転するのかについても取り決めるのが通常です。

 

 

 危険負担とは,仮に両当事者の責めに帰すべき事由によらずに商品が毀損または滅失したような場合に,どちらの当事者がその損失を負担するかという問題です。

 

 

 危険の負担は,所有者が行うのが公平だという観点から,危険の移転と所有権の移転は,その時点を一致させることがよくあります。

 

 

 そして,海外取引の場合には,インコタームズ2010などに従って,契約書に取り決めることが多いです。

 

 

 例えば,FOBなどとして,船上に商品が移った段階から,所有権と危険負担が売主から買主に移転するなどと取り決めることになります。

 

 

 代金支払方法・支払時期

 

 海外取引ですから,代金を支払いをどのように行うかは契約書で取り決めておいた方が無難でしょう。

 

 

 信用状(L/C)を使えるのであれば,売主は代金回収をより確実のものにできますが,中小・ベンチャー企業の取引であれば,そのようなケースは稀でしょう。

 

 

 その場合は,銀行振込などになるでしょうから,その旨を記載します。

 

 

 また,支払時期も重要です。前払いとすれば,売主側の債権回収リスクを下げることができますが,商品と引換,後払いなど,時期は当然当事者の力関係などにより変化します。

 

 

 L/Cを使わず,後払いなどで売主が売掛金の回収リスクを負担する場合,貿易保険の利用なども考えられます。

 

 

 保証条項

 

 商品を売却する場合,商品の品質や利用目的に対する適合性など,どこまで保証するかということが問題になります。

 

 

 保証すると定める場合,どこまでが売主の保証の対象になるのか,後で疑義が生じないよう保証の範囲を明確に定める必要があります。

 

 

 さらに,いつまで保証するのか,保証期間についても,いつからいつまでなのか明確に規定すべきです。

 

 

 もし保証をしないのであれば,いわゆる「現状有姿」(as it is)にて引き渡すということを定めることになります。この現状有姿条項については,「英文契約書のポイント4」で解説していますので,よろしければご覧下さい。

 

 

 この条項が挿入されると,通常,商品の品質などについて一切保証されず,対象商品が現在ある状態(仮に欠陥が含まれていてもその状態のまま)で買い取るということになるため,買主は注意が必要です。

 

 

 第三者からのクレームについての補償

 

 例えば,商品に欠陥があったために第三者が怪我をしたり,商品が第三者の著作権などの権利を現地で侵害した場合などには,第三者から買主が損害賠償請求等のクレームを受ける可能性があります。

 

 

 このクレームについて,どちらがどのようなルールで対応または費用負担するのかという点については事前に取り決めておいた方が良い場合があります。

 

 

 ただし,このような取り決めは一方の当事者に極めて不利なものになる可能性があり,そのような場合,準拠法によっては当該条項が無効となる場合もあるので,規定の仕方も含めて慎重な検討が必要です。


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