法務部員が英文契約書を翻訳・修正・作成する際に役立てられればと思い,英米法のポイントを解説した連載記事「英文契約書の翻訳・作成に役立つ英米法のポイント解説4」です。
お役立て頂ければ幸いです。
法務部員が英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に役に立つ英米法の基礎知識です。
今回は,いわゆるAs is basis(アズ・イズ・ベイシス)という概念について説明します。
これは「現状有姿で」という意味です。
例えば,ある商品の売買契約を締結した際,その商品がそのときある状態のままで引き渡されるということを約定する場合などに使用されます。
売買契約では,目的物の状態は重要です。
多くの法制度下において,仮に目的物に欠陥・故障(Defect)などの問題があった場合,買主には,その目的物の引渡しを受けることを拒む,目的物の修理や代替物との交換を要求する,または,損害賠償を請求するなどの救済措置(Remedy)が与えられているでしょう。
しかし,この現状有姿条項があると,目的物の欠陥・故障などについてこのような救済手段が原則として認められなくなります。
目的物に問題がある場合でも,最初から問題のあるものとして売却したのだから問題はないということです。
例えば,中古品や,オフスペックとなった物品を安価な価格やスクラップ価格で売却するというような場合に使われます。
直接関係ありませんが,賃貸借契約終了時に買主が負う「原状回復義務」について「現状回復義務」としている日本語の契約書を見ることがあります。
この場合の「原状」は,引渡しを受けた時の状態を指すものですから,賃借人は賃借物件を借り受けた時の状態に復帰させてから買主に対して明け渡す義務を負っていることになります。
対して,「現状」とは上述のとおり,現況を意味しますから,こう書いてしまうと,賃貸借契約終了後,現状で明け渡せば良いという意味に読み取れます。
もちろん,ほとんどの場合,条項の内容から原状回復を意味することがわかるので,実際に問題となることはないでしょうが,こうした用語には敏感である必要があるでしょう。
法務部員が英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に役に立つ英米法の基礎知識です。
今回はattach, attachement(アタッチ,アタッチメント)です。
これは「差押える」,「差押え」を意味します。
強制執行の一形態で,債務者の意思にかかわらず,その所有財産を競売にかけるなどの措置を可能にするものです。
Order of attachmentは「差押命令」を表し, execution of attachmentは「差押えの実行」を意味します。
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今回はgarnisheeです。
「第三債務者,債権差押命令を受けた者」を指します。
第三債務者というのは,例で説明すると以下のとおりです。
例えば,債権者が債務者の銀行預金債権を差し押さえた場合に,銀行は本来預金者である債務者に対して預金を払い戻す義務があるところ,差し押さえの効力により,それが許されず,債権者に対し弁済する義務を負うことがあります。
このような場合における銀行のことを第三債務者といいます。
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今回は,deem(ディーム)の解説です。
これは「みなす」という意味です。
通常,deemが使用された場合,いわゆる「推定」の場合と区別して,相手方当事者の反証を許さないという意味を持っています。
つまり当該条項によりある事実が存在するまたは存在しないとみなされた場合,相手方当事者がこれに反対してその事実が存在しないまたは存在すると証明することは許されないということです。
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今回は,英文契約書によく登場するIndemnity(インデムニティ)(補償)条項とWarranty(ワランティ)(保証)条項の違いについて簡単に解説します。
Indemnityは,「補償」とよく和訳されます。これは,Seller shall indemnify Buyerという用法でよく英文契約書では登場します。当事者はいろいろなものがありますが,ここでは,便宜上SellerとBuyerにしています。
この場合,Buyerが,例えば,Sellerの商品を販売していたところ,第三者の権利を侵害したなどの理由で,この第三者からBuyerが損害賠償請求を受け,Buyerが第三者にその賠償額を支払ったとします。
この賠償金について,SellerがBuyerに支払うという内容が典型例になります。
要するに,Buyerが責任を負うような場面が起きれば,その責任を最終的にSellerが負うということを約束していることになります。
これにより,BuyerはSellerに補償され,Buyerは第三者などに対する責任を免責されるということになります。
これに対し,Warrantyは,「保証」と和訳されます。
これは,例えば,Seller warrants to Buyer that...などと英文契約書では使用されます。
上記のような売買契約の例では,Sellerが製品について何らかの保証をする際にwarrantという用語が使われます。M&Aに関する契約書でもrepresentation条項とともに頻出します。
英米法上,このwarrantの内容に違反した場合は,通常は,買主は損害賠償ができるとされますが,契約の解除などが認められることもあります。
Warrantという英文契約書用語を使用して,その違反があった場合の効果について記載しないと上記のように,原則として損害賠償,重要な場合は解除もできるなどと効果があいまいになってしまいます。
そのため,warranty条項に違反したが場合,その効果は何か,言い換えれば,Buyerは何をSellerに要求できるのかについては,明確に英文契約書に記載しておくことが大切です。
これは,Sellerにとっても,warranty違反があった場合に,どのような対応をしなければならないのかを事前に制限できるというメリットがあります。
よく定められる効果としては,商品の交換,代金の減額,修理,契約の解除が挙げられます。
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