英文契約書のリスク診断シート(弁護士による英文契約書の作成・リーガルチェック・翻訳)

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 「弁護士による英文契約書の作成・リーガルチェック・翻訳」,英文契約書のリスクを診断するチェックリストです。

 

 ※本チェックリストは,あくまで一般的なレベルで,リスクがある条項がどの程度含まれているのかという観点からリスクの高低を参考までに測っているにすぎません。

 

 したがって,あくまで,英文契約書を読む際にどのような点に気をつけなければならないのかという観点から参考にするにとどめてください。

 

 実際に本チェックリストにしたがって,契約実行の是非などを判断されることのないようご注意願います。

【英文契約書 Distributorship/Distribution Agreement(販売店契約)】のリスク診断シート(販売店側)

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 Distributorship/Distribution Agreement(販売店契約)は,ご依頼頂く英文契約書類型の中でもっとも多い契約書の1つです。

 

 この販売店契約のリスクについてチェックリストを下記に記載します。まずは,日本の企業が海外から商品を輸入して国内で販売する場面(日本企業が販売店側)を想定し,リスクチェックをします。

 

 答えが「はい」となりチェックされる項目が多いほどリスクが高いと考えて良いと思います。

  • 独占販売権を付与されるという約束である。契約書には,販売店に独占販売権を付与すると書かれている。「独占」販売権が具体的に何を意味するのかは特に記載されていない。
  • 販売店が販売できる商品がリスト化されている。契約書にはベンダーが将来開発する新しい商品が対象となるかについて記載は特にない。
  • 独占販売権を得ると書かれているが,ベンダーがそのような独占権を当該販売店に付与できるのかどうかについては契約書には記載がない。
  • 複数の仕入先から商品を仕入れて小売業を営んでいる。販売店契約に「類似品」「競合品」を取り扱うにはベンダーの承諾が必要であるという条項がある。
  • 販売店として自らも商品を販売する予定だが,同時に他のリテーラーにも卸す予定である。契約書には,対象地域で顧客に商品を販売することができるとだけ書かれている。
  • 対象地域の顧客から直接ベンダーに問合せがいった場合,どうすべきなのかについては契約書には特に記載がない。
  • 契約書を見ると,販売店は二次販売店を指名できると書かれている。販路拡大のため二次販売店を指名する予定である。二次販売店の契約違反について販売店が「補償する」という条項がある。
  • 最低注文数量(Minimum Purchase Orders)が定められている。
  • 最低注文数量が毎月課されている。
  • 最低注文数量を達成できない場合は,最低注文数量分の購入義務が課されている。
  • 最低注文数量は定期的にベンダーが見直し,改定できるように書かれている。
  • 販促活動・マーケティング手法については,すべてベンダーが指示することになっている。
  • 販促活動・マーケティング手法については,すべてベンダーが指示することになっていて,販促活動・マーケティングのために支出する費用はすべて販売店負担となっている。
  • 商品の価格の決定方法についての記載がない。
  • 価格が当初の予定から変更する場合の手続きについて記載がない。
  • 1回あたりの取引金額が大きい。代金の支払は前払いとなっている。
  • 商品の性質上,納期は守ってもらう必要がある。納期までに商品が到着しなかった場合について契約書には何も書かれていない。
  • 商品の検収方法・時期が詳細に書かれている。指定の検収を怠った場合には,損害賠償義務などをベンダーが負わないと書かれている。ベンダー指定の検収方法は,現場での実行は困難である。
  • 商品の検収時に問題(品違い,数量不足など)があった場合に販売店がどのようにすべきなのか契約書に記載がない。
  • 商品に問題(品違い,数量不足など)があったときに,ベンダーがどのようは補償をするのか具体的な方法は契約書に書かれていない。
  • 商品の品質保証や規格に合致しない場合の取扱いについて契約書に記載がない。
  • 商品の品質保証が書かれているが保証期間の明示がない。
  • 商品の品質に問題がある,欠陥があることについて誰がどのように証明するのかが契約書に書かれていない。
  • 商品に欠陥があった場合にどのようにベンダーが対処するのかについて契約書には書かれていない。
  • 製造物責任が生じた場合,損害賠償金の負担は販売店とすると書かれている。
  • 商品を販売,販促,マーケティングするときにベンダーのロゴやデザインを使用する。その商標使用権についての条件などが契約書に記載されていない。
  • 販促,マーケティングのために,日本語の商品紹介ウェブサイト・パンフレットを作る予定である。ベンダーのサイトや販促資料の翻訳権について書かれていない。
  • 上記の場合に作った日本語のサイトやパンフレットの権利を誰が有するかなどについて契約書に記載はない。
  • 商品には技術的な部分が含まれているため,特許権の対象になる可能性がある。当該商品が日本で他社に特許権を取得されていたような場合について契約書に記載がない。
  • 上記は商標権についても契約書には記載がない。
  • 上記のように商品を日本で販売すると他社の知的財産権を侵害する可能性があるが,そのようなクレームが第三者からなされた場合については記載がないか,責任を販売店が負うとされている。
  • 契約期間が極端に短い
  • 契約期間が長く,最低注文数量が定められている。
  • 契約期間が満了する場合の更新について記載がない
  • 契約の更新についての記載があるが,合意によると書かれている。
  • 最初の期間満了前に,当事者のいずれかが更新拒絶の意思を通知しない限り,自動更新となると記載されている。更新回数については契約書に記載がない。
  • 契約期間中もいつでも何日か前に余裕を持って通知すればベンダーは契約を解除できると書かれている。
  • ベンダーが更新を拒絶したり,ベンダー都合による解約をした場合に特に何らかのペナルティ(補償金の支払い,契約終了後一定期間当該地域でのベンダーによる販売禁止など)が課されるとは書かれていない。
  • 契約が終了または解除された後,商品の在庫をどのように取り扱うかについて書かれていない。
  • 紛争時における準拠法・裁判管轄がベンダーの地,または,第三国と定められている。  

 

 参考になれば幸いです。もちろん,リスクがある条項の数だけで契約書の安全性が図れるわけではありません。実際にはリスクの程度の問題もありますし,現実的に問題となるのという現実性も考慮に入れなければなりません。


 また,交渉ではバーゲニングポジションにより譲歩すべきところもありますし,反対に,譲れないという条項も存在します。


 したがって,実際の契約ではこのような観点から多角的にリスクチェックを行う必要がありますから,本リスク診断はあくまで一般的にリスクがあるとされている条項を洗い出すという意味での参考程度に留められるようお願い致します。

 

※決して本チェックリストを利用して契約実行の判断などをしないようにお願いします。そのような意図で作成したものではなく,仮にそのような利用をされて問題が発生しても当方は何ら責任を負うものではないことをご了承下さい。

 

【英文契約書 Distributorship/Distribution Agreement(販売店契約)】のリスク診断シート(売主側)

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 Distributorship/Distribution Agreement(販売店契約)のリスク・安全性についてのチェックリストを下記に記載します。日本の企業が海外へ商品を輸出して現地で販売する場面(日本企業がベンダー側)を想定し,リスクチェックをします。

 

 答えが「はい」となりチェックされる項目が多いほどリスクが高いと考えて良いと思います。

  • 独占販売権を付与する契約である。
  • ベンダーが現在および将来取り扱う商品すべてが対象になっている。
  • 商品について一定数量を常に供給できるように在庫確保が要求されている。
  • 販売店は複数の仕入先から商品を仕入れて小売業を営んでいる。販売店契約に「類似品」「競合品」を取り扱うにはベンダーの承諾が必要であるという条項がない。
  • 販売店の販促能力,ブランド構築能力を信じてパートナーとして選定した。契約書には,他のリテイラーなど二次販売店を販売店の裁量で指名できると書かれている。
  • 対象地域の顧客から直接ベンダーに問合せが入った場合,販売店に連絡するとだけ書かれており,販売店が対処しなかった場合については特に記載がない。
  • 契約書を見ると,販売店は二次販売店を指名できると書かれている。二次販売店がベンダーの販売店契約に書かれている内容に違反した場合については特に記載がない
  • 最低注文数量(Minimum Purchase Orders)が定められていない。
  • 注文数量が努力目標にとどまっている。
  • 販売店がパフォーマンス,販促活動において合理的商業努力をしているとは見えない場合に,何らかの対処をベンダーができるという内容の条項がない。
  • 最低注文数量を達成できない場合にどうなるかについては特に記載がない。
  • 最低注文数量は更新後も固定だと書かれている。
  • 販促活動・マーケティング手法については,販売店が自由に決められることになっている。
  • ベンダーが販売店の販促活動・マーケティング活動を支援するための費用がすべてベンダー負担となっている。
  • 商品の価格が固定されている。
  • 価格が当初の予定から変更する場合に必要な手続きが厳しい。
  • 1回あたりの取引金額が大きい。TCでもなく代金の支払は後払いとなっている。
  • 引渡し期日がtime shall be of essenceとされ,納期までに納品しなければペナルティがあるとされている。
  • 商品の検収方法,検収期間などが書かれていない。
  • 商品の検収時に問題(品違い,数量不足など)があった場合に販売店がどのようにすべきなのか契約書に記載がない。
  • 商品に問題(品違い,数量不足など)があったときに,ベンダーがどのようは補償をするのか具体的な方法は契約書に書かれていない。
  • 商品の品質保証や規格に合致しない場合の取扱いについて契約書に記載がない。
  • 商品の品質保証が書かれているが保証期間の明示がない。
  • 商品の品質に問題がある,欠陥があることについて誰がどのように証明するのかが契約書に書かれていない。
  • 商品に欠陥があった場合にどのようにベンダーが対処するのかについて契約書には書かれていない。
  • 製造物責任が生じた場合,損害賠償金等の負担はすべてベンダーが負うと書かれている。
  • 商品を販売,販促,マーケティングするときにベンダーのロゴやデザインを使用する。その商標使用権についての条件などが契約書に記載されていない。
  • 商品には技術的な部分が含まれているため,特許権の対象になる可能性がある。当該商品が当該地で他社に特許権を取得されていて特許権侵害などがあった場合,ベンダーがすべて保証すると書かれている。
  • 上記は商標権侵害についても同様とされている。 
  • 契約期間が極端に長い
  • 契約期間が長く,最低注文数量が定められていない。
  • 契約の更新についての記載があり,同条件により自動更新とされている。
  • 最初の期間満了前に,当事者のいずれかが更新拒絶の意思を通知しない限り,自動更新となると記載されている。更新回数については契約書に記載がない。
  • ベンダー側が契約期間満了前に解除できる場合について規定がない。
  • ベンダーが更新を拒絶したり,ベンダー都合による解約をした場合に特に何らかのペナルティ(補償金の支払い,契約終了後一定期間当該地域でのベンダーによる販売禁止など)が課されている。
  • 契約が終了または解除された後,商品の在庫をどのように取り扱うかについて書かれていない。
  • 紛争時における準拠法・裁判管轄が販売店の地,または,第三国と定められている。

 

 参考になれば幸いです。もちろん,他にも検討事項はたくさんありますし,リスクがある条項の数だけで契約書の安全性が図れるわけではありません。

 

 実際にはリスクの程度の問題もありますし,現実的に問題となるのという現実性も考慮に入れなければなりません。

 

 また,交渉ではバーゲニングポジションにより譲歩すべきところもありますし,反対に,譲れないという条項も存在します。

 

 したがって,実際の契約ではこのような観点から多角的にリスクチェックを行う必要がありますから,本リスク診断はあくまで一般的にリスクがあるとされている条項を洗い出すという意味での参考程度に留められるようお願い致します。

 

 ※決して本チェックリストを利用して契約実行の判断などをしないようにお願いします。そのような意図で作成したものではなく,仮にそのような利用をされて問題が発生しても当方は何ら責任を負うものではないことをご了承下さい。

【英文契約書Agency Agreement(販売店契約)】のリスク診断シート(エージェント側)

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 Agency Agreement(販売店契約)は,ご依頼頂く英文契約書類型の中でもっとも多い契約書の1つです。

 

 この代理店契約のリスクについてチェックリストを下記に記載します。まずは,日本の企業が海外から代理店として指名を受ける場面(日本企業が代理店側)を想定し,リスクチェックをします。

 

 答えが「はい」となりチェックされる項目が多いほどリスクが高いと考えて良いと思います。

  • 取扱商品がリスト化されているが,それらの改良版や当該ブランドの周辺ブランドが含まれているのかどうか明記されていない
  • 代理店業務のエリアが国内の狭い範囲に限定されている。
  • 総販売代理店として独占権を付与されているが,売主が代理店を介さずに直接対象商品を売却できるのかについて書かれていない
  • 総販売代理店契約とされているが,売主が直接顧客等に得ることが許されている。しかし,仮に売主が直接顧客に売却した場合の取り扱いについては記載がない
  • 代理店が二次代理店を指名して商品販促をして良いかどうかについては記載がない
  • 代理店が営業をかけた結果,顧客が対象商品を注文することになった。どこまで代理店が介在するのかが不明確である
  • エージェントはあくまで代理店であって,対象商品の売買契約の当事者にならないという明確な規定がない
  • 代理店の営業によって顧客から発注があっても,売主は何らの制約なく注文を拒絶できると書かれている。
  • 売主の売掛金回収に代理店が協力すると規定されているが,売掛の回収リスクを売主が負担するという明確な規定がない
  • 顧客から対象製品などについてクレームが入った場合に,代理店が対処すると規定されているが,最終的な責任がどちらにあるのか,クレーム対処の費用はどちらが負担するかなどについて規定がない
  • 代理店として,他の商品も取り扱っているところ,本契約では,競合品を取り扱ってはならないと規定されており,競合品の定義があいまいでよくわからない
  • コミッションの支払いがパーセンテージで表示されているが,販売価格を基準にするのか,粗利を基準にするのかなど,基準があいまいである
  • コミッションが発生するために,代理店がどのように影響を与えた取引であれば良いのかが書かれていない,または,あいまいである
  • 代理店契約が終了した場合でも,代理店の過去の営業行為が功を奏して取引成立となる可能性があるが,契約終了後どこまでの取引成立がコミッションの対象となるのか書かれていない
  • 代理店に展示会などへの出展義務が課されているが,その費用については全額代理店負担とされている。
  • 代理店契約の契約期間が極端に短い
  • 代理店の営業行為により成立する取引の数や金額にノルマが課されている
  • 代理店契約期間中も売主側から一定期間の予告通知をすれば,自由に解約できるようになっている。
  • 売主が代理店契約の更新拒絶や,解約をした場合のペナルティについて規定がない
  • 対象商品が他人の特許権,著作権,商標権などの知的財差権を侵害していたことが発覚し,代理店が訴訟提起を受けたような場合に,売主が補償するなどの条項がない

 

 参考になれば幸いです。もちろん,リスクがある条項の数だけで契約書の安全性が図れるわけではありません。実際にはリスクの程度の問題もありますし,現実的に問題となるのという現実性も考慮に入れなければなりません。

 

 また,交渉ではバーゲニングポジションにより譲歩すべきところもありますし,反対に,譲れないという条項も存在します。

 

 したがって,実際の契約ではこのような観点から多角的にリスクチェックを行う必要がありますから,本リスク診断はあくまで一般的にリスクがあるとされている条項を洗い出すという意味での参考程度に留められるようお願い致します。

 

※決して本チェックリストを利用して契約実行の判断などをしないようにお願いします。そのような意図で作成したものではなく,仮にそのような利用をされて問題が発生しても当方は何ら責任を負うものではないことをご了承下さい。

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