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 例えば,このようなお悩みをお持ちではないですか。 

 

 「販路拡大を目指し当社も海外に輸出事業をすることになり,当社商品を展示会に出店したところ,海外から問い合わせが来た。海外ビジネスの経験もないのに,販売店から契約書が送られてきたが,どのように進めたらよいのか,どこに注意したらよいのかわからない。」

 

 私は,合計約3年間にわたるイギリス留学とロンドンの法律事務所での実務研修経験とスキルを活かし,国内法のみならず,国際取引法,英国法やコモン・ローを中心とした外国法に関する法務を長年にわたり専門に取り扱っています。

 

 日本企業が,インドネシア,タイ、シンガポール,ベトナム,ミャンマー,マレーシア,インド,中国,などアジア諸国を初め,海外との取引や,海外での事業展開を狙う流れは加速化するのは必至です。

 

 しかしながら,国際ビジネスには,当然国内とは全く異なる様々なリスクが潜んでいるのも事実です。

 

 そのため,海外経験のある弁護士としての知識と経験を活かし,海外展開を行う日本の中小企業を法務面からサポートをさせて頂いています。

 

 なお,こうした中小企業支援の実績を評価され,2012年11月,経済産業省より,「中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関」(認定支援機関)に認定されました。

 

 また,2014年10月に,(独)中小企業基盤整備機構による認定支援機関向け海外展開支援研修を修了したので,こうした知見も海外展開支援に活かしております。

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 日本の内需が縮小する中,欧米やアジア新興国などの海外に販路開拓・拡大を狙う中小企業の皆様のお手伝いをさせて頂いています。

 

 輸出による海外展開は,独資や合資により現地法人を設立しての海外展開よりは,リスクが低いといえます。

 

 しかし,当然ですが,海外との取引は,日本国内の取引とは全く異なるもので,以下のように,簡単に記しただけでも多種多様のリスクが潜んでいます。

 

 海外展開を行う前に,これらのリスクについて十分に検討し,可能な限りリスクを除去または軽減したうえで,取引を開始することが重要です。

 

①  輸出入規制

 各国には,独自の輸出入規制が存在します。

 そのため,日本で流通している商品でも,特定の国では輸入が禁止され,販売できないということはよくあります。

 また,輸入自体は許されても,一定の制限が課されていることもあります。さらに,いわゆる途上国では,貿易ライセンスを有する業者しか輸入が許されないという規制も存在します。

 したがって,入り口として,日本から当該製品を当該国に輸出し,当該国での販売が可能であるかは,チェックしなければなりません。

 

②  輸出事業の展開プロセス

 当該国に製品が輸出できるとわかった場合,直接小売店などに販売することもありますが,多くは,現地のパートナーを見つけ,そのパートナーに販売店(Distributor)または代理店(Agent/Sales Representative)となってもらい,製品の販売を依頼します。

 

 その場合,いくつかのプロセスを踏むことをお勧めしています。

 

 まず,展示会などで引き合いがあり,パートナー候補が見つかったとします。このパートナーが信用できる相手なのか,当然事前調査(Due Diligence)(デューデリジェンス)をします。

 

 財務状況はどうか,代表者は信頼に足りるか,本当に現地法に基づいて設立された法人として存在するのか,この取引は取締役会で承認されたものなのか,コンプライアンスはどうか,自社と契約できる法的地位にあるのかなどを検討します。

 

 信頼できる相手だと判断できたとしても,すぐに製品サンプルなどを渡してはいけません。模倣リスクなどを負うことになります。

 

 その前に,きちんと守秘義務契約(Non-Disclosure Agreement/NDA)を交わします。実際には,NDAがあっても,違反する業者もいますから,前述の事前調査は重要ですし,簡単にサンプルやテスト機などを渡さないことも重要です。

 

 その点,貴社の製品にブラックボックスが存在すると有利になります。製品情報として開示しなくても良い情報がブラックボックスとなり,分析してもわからない内容なのであれば,模倣リスクなどがかなり軽減されます。

 

 その後,サンプル等を渡し,いざ,取引を開始するという段階になったとしても,安易に販売店契約(Distribution Agreement)代理店契約(Agency Agreement/Sales Representative Agreement)を締結するのはお勧めしません。

 

 相手がどれだけの購買力と販売力があるのか,わからない段階で上記のような長期契約を締結するには,高いリスクがあるからです。

 

 そのため,最初は,単発での個別売買契約によって,取引を開始するのが危険が少ないといえいます。

 

 その後,取引を継続していると,パートナー側からも,正式な販売店契約または代理店契約の締結を要求されるでしょう。

 

 その段では,パートナーのこれまでの実績も加味しながら,非独占または独占の販売店/代理店契約を締結することがあります。

 

 独占契約とすると,契約期間中は,自ら顧客に販売できず,他の販売店/代理店を指名できないという制約を受けるため,非独占よりもリスクが高いことになります。

 

 そのため,独占契約とする場合には,契約期間を短く刻んだり,最低購入数量条項(Minimum Purchase Quantity)解除条項(Termination with or without cause)を入れたりします

 

 ただし,現地法には,販売店/代理店保護法が存在する場合があり,これらの対策では十分でないこともあるので注意が必要です。したがって,事前に現地法の調査が必要になる場合があります。

 

 中には,独占権を取得して,製品の販売努力をしないという業者もいます。競合品の市場参入を防止したりといろいろな目的でこのようなことが行われます。

 

 そのため,販促についての努力義務などを課し,このようなパートナーについては契約違反として契約を解除できるようにしておく必要性もあります。

 

 また,いざ契約が結ばれ,相当期間が経過したときに,パートナーのパフォーマンスがよくないとして,契約の更新を拒絶したり,契約を解約して,新しい販売店/代理店を指名したり,自社で販社を設立したりするということもありえます。

 

 しかし,これは,これまでの販売店/代理店が築き上げてきたブランド力や販路(Goodwill)(グッドウィル)に「ただ乗り」(Free Ride)(フリーライド)するようなものですから,トラブルになることが多いです。そのため,このような場合に備えた契約書を結んでおくことが必須といえます。

 

③  製品クレーム

 輸出業を行う日本企業としては,製品をどのようなルールで検収させ,どのようなルールに基づいて製品保証をするのか,事前に取り決めて契約書に明記しておく必要があります。

 

 そして,契約書に明記された方法以外では,製品に関するクレームを一切受け付けないと記載しておく必要があります。

 

④  製造物責任

 現地での製造物責任法(Product Liability Act/PL法)については,注意が必要です。

 

 PLクレームリスクのある製品を輸出する場合,現地のPL法を調査した上,契約書で,PL責任について対処しておく必要があります。

 

 リコールになるような事態が想定される場合,その対応方法,責任の所在・割合なども決めておく必要があります。

 

 メーカーと販売店でPL保険(生産物賠償責任保険)などをどうするのかも定める必要があります。

 

 現地法で有効になるかどうかはさておき,可能であれば,PL法における責任が生じた場合,最終的に補償すべき当事者は現地の販売店/代理店である旨を規定したいこともあるでしょう。

 

⑤  現地での商標権や特許権登録の検討

 輸出製品の商標権や特許権などは,登録していても日本でしか有効ではありません。そのため,これらの知的財産権について,当該国でも保護を受けようとする場合,原則として,現地国にて登録が必要となります。

 

 もっとも,特許の場合,技術的情報も公開されてしまい,一定期間の経過により,保護が受けられなくなってしまうという問題があるため,ブラックボックスがあるのであれば,あえて登録をしないということもあります。

 

 登録維持には,一定のコストもかかりますし,いざ侵害行為があった場合にどこまで対処するかによりコストが大きく異なってくるため,これら知的財産権についてどのような戦略をとるのかは事前に決めておく必要があります。

 

 支払方法

 輸出業を行う日本企業にとって,高いリスクを負うことがあるのが,この支払方法,代金決済方法です。

 

 この点のリスクヘッジで有効なのは,前払いのT/T送金やL/C決済などと言われています。

 

 しかし,全部を前払いの条件で行えるかについては,取引内容や相手方の立場上の強さにも影響されますし,すべての業者がL/C決済可能なわけではありません。

 

 中小企業にとって,貿易保険なども保険料を考えると現実的ではない場合もあります。

 

 そのため,原価分のみ前払いで送金してもらい,残りを納品後に払ってもらう,実績が相当に積まれた後には一部掛け売りに応じるなど,一定程度の譲歩をしているのも現実といえるでしょう。

 

 もっとも,中には,100%前払いでなければ,輸出に応じないという事業者様もいらっしゃいます。

 

⑦  販売地域(Territory)

 特に独占の販売店/代理店契約を締結する場合には,重要な内容です。

 

 一般的には,販売店/代理店の実力がわからない段階では,独占権を与えるとしても,販売地域を限定的にするということが行われます。

 

 広い地域で独占権を与えてしまうと,そのパートナーのパフォーマンスが悪かった場合に,自社の販売戦略に重要な影響を生じるおそれがあるためです。

 

 この販売地域の指定については,独占禁止法や競争法(Competition Law)の規制が問題になることがあるので,注意が必要です。

 

 更新条項(Renewal Clause)

 販売店/代理店契約については,有効期間を定めることは必須といえるでしょう。

 

 その際,よく見かける条項は,「契約期間は3年とし,契約期間の満了日の30日前に,いずれの当事者からも更新拒絶の書面による通知が相手方に出されなかった場合には,自動的に3年間更新し,以降も同様にする」というような内容のものです。

 

 これによると,更新拒絶をしない限り,自動的に更新されるという内容になっているため,現地の販売店/代理店からすれば,更新の期待を抱きやすいといえます。

 

 そこで,「契約期間は3年とし,同期間の経過をもって自動的に終了する。ただし,期間満了の30日前までに当事者が期間の延長について書面により合意した場合は,合意した期間のみ存続する。」などと定めることもあります。

 

 メーカー,サプライヤーとしては,相手のパフォーマンス次第で契約を終了させたいという場面もあるでしょうから,あえて更新には触れないこともよくあります。

 

 ただし,販売店側からは,契約終了につき補償金の支払いや契約継続を求めるクレームが来ることが多いです。このようなクレームを予想して,事前にどのような文言にするかを検討する必要があります。

 

⑨  準拠法・紛争解決方法

 準拠法というのは,販売店/代理店契約などに関し,現地の販売店/代理店と争いが生じたような場合,どこの国の法律を適用して契約などを解釈するかという問題です。

 

 また,紛争解決方法とは,上記のような紛争が起こったとき,どのような方法,例えば,裁判や仲裁で解決するか,さらに,どの裁判所や仲裁機関で解決するかなどの問題を指します。

 

 これは,紛争時には重要な問題です。はじめて海外取引を行う中小企業の経営者の方もこの点を非常に気にされます。

 

 しかし,本当に紛争が起きた際に,これらの条項にしたがって紛争解決ができるか,または,解決して実効性があるかということは,事業開始前に十分に検討しておく必要があります。

 

 仮に日本法に準拠し,日本を仲裁地とするという条項を勝ち取れたとしても,中小企業にとっては,実際に紛争を裁判や仲裁によって解決し,それを外国で執行するということは,コスト的に非現実的である場合があります。

 

 また,外国法を準拠法とし,外国において仲裁を行うとされた場合,そもそも仲裁における弁護士費用も負担できないということもよく起こります。

 

 したがって,有事の際の準拠法・紛争解決条項に頼るのではなく,例えば,代金決済方法について粘り強く交渉し,いかにトラブルや紛争を生じさせないようにするかの方がはるかに重要といえるでしょう。

 

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  輸入業を開始・拡大し,販路の拡大を狙う中小企業の皆様の法務サポートを致しております。

 

 信頼できる取引先を得るには相応の努力が必要でしょうが,仕入先候補が見つかったらまずは少額取引から開始し,取引相手の信頼性を確実にチェックします。

 

 こうして,晴れて信頼に足るパートナーを見つけ,本格的に輸入取引開始となったときには注意が必要です。契約書(多くは英文契約書)は必ず整備して下さい。

 

 国内取引では,信頼関係の下,しっかりとした売買基本契約書などを作成せずに取引を長きにわたり継続している企業も多いと思います。 

 

 しかし,国際取引ではこれは大変に危険です。

 

 最初は良くても,取引先の仕入れ価格の変動や,法制度・政治情勢の変化,為替の変化,自国市場の変化などにより,当初の条件通りに安定して商品供給を行うということができなくなることがあります。

 

 これによって,利益が落ち込み,さらには小売店やエンドユーザーの信頼をも損ねることに繋がってしまいます。

 

 このような場合に備えて仕入先の細分化などのリスクヘッジを行うのは当然として,当該取引先との契約内容を事前に書面で明確にしておくことがまずは必須といえるでしょう。

 

 輸入販売を行うには,個人輸入代行から,売買基本契約によるもの,代理店契約(Agency Agreement)(エージェンシーアグリーメント)によるもの,販売店契約(Distributorship Agreement)(ディストリビューターシップアグリーメント)によるものまで,様々な形態があります。

 

 とりわけ,代理店契約と販売代理店契約の違いには注意が必要です。

 

 代理店契約は,その名のとおり取引先(Principal)の代理人として振る舞うことになりますから,商品を購入して再販売するということにはなりません。

 

 なお,Sales Representative(セールスレプレゼンタティブ)という用語もあります。これは,代理店よりも権限が縮小されたもので,単にメーカーの商品の顧客をメーカーに紹介するという存在を指して呼ぶことが多いです。単に「レップ」と略すこともあります。

 

 したがって,在庫リスクや小売店などに対する売掛回収のリスクを代理店が負担しないのが原則です。

 

 これに対して,販売代理店契約の場合は,Distributorが取引先から商品を購入して,これを自己の責任において再販売することになりますので,在庫リスクやエンドユーザーなどに対する売掛回収のリスクをDistributorが負うことになります。

 

 また,特に代理店契約については各国の法律により,簡単には解消できないなど,法律的な取り扱いも異なったりしています。

 

 そのため,例えば,Agent(エージェント)なのかDistributor(ディストリビューター)なのか曖昧な契約のままに取引を開始するようなことがあると,両者の法的性質や規制は大きく異なるため,大変なトラブルを招くことがあり得ます。

 

 このようなことにならないように,特に国際取引を本格的・継続的に行うという段階になった場合,必ず「安全な」契約書を作成し,リスクヘッジをした上で開始することが必須といえるでしょう。 

 

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 英文契約書の販売店契約(Distributorship Agreement/Distribution Agreement)(ディストリビューターシップ/ディストリビューション・アグリーメント)・代理店契約(Agency Agreement)(エージェンシー・アグリーメント)のチェックポイントについて簡単に説明しておきます。

 

 Distibutorship AgreementとAgency Agreementは,最も多くご依頼頂いている契約(特にDistibutorship Agreementの依頼が多いです)で,私も特に得意にしています。

 

販売店契約なのか代理店契約なのか必ず明確にすること

 販売店契約(Distribution Agreement)と代理店契約(Agency Agreement)は異なるものです。

 

 簡単にご説明すると,販売店は,メーカーの商品を自分で仕入れ,在庫を持ち,商品を販売展開します。

 

 これに対し,代理店は,商品を自分では仕入れず,商品の顧客を探してこの顧客に商品を仕入れさせ,代理店自体は自分の営業で商品を購入した顧客からのメーカーの売上から手数料をもらうという存在です。

 

 まずはどちらの形態で行うのか,輸入取引であれ輸出取引であれ,英文契約書では必ず明確にし,両者のどちらかなのか曖昧になるようなことは避けなければなりません。

 

 (この点は,英文契約書の名称で決まるわけではなく,あくまで英文契約書の内容で決定されるので注意が必要です。)

 

 交渉中は,サプライヤーのために営業機能を担ってくれれば良いというAgency契約だと思っていたら,実は,Distributorとして自己負担で販路開拓し,最低購入数量を課され,在庫も抱えて,債権回収リスクも負うDistribtor契約であったというような事例もありますので,注意されて下さい。

 

排他的なもの(Exclusive)かそうでない(Non Exclusive)の契約かを明確にすること

 取引相手に独占的に商品の販売委託などをする場合,これを排他的代理店・販売店契約などと呼びます。

 

 日本では,独占販売権を持つ販売店のことを,総代理店(販売総代理店/一手販売店)と呼びますが,代理店はエイジェンシーを指す言葉なので,厳密にいうと不正確に訳されています。

 

 輸出側とすれば,他にもDistributorまたはAgentなどを指定するのかという視点で検討することになり,輸入側では他に同商品を扱う業者がいるのかどうなのかという視点で検討することになります。

 

 こうした点で,一般的には排他的契約(総代理店/販売総代理店/一手販売店)のほうが代理店・販売店にとっては有利と言えるでしょう。

 

 ただし,そのような有利な独占権(総代理店/販売総代理店/一手販売店契約)を得るには,その分の対価として,Distribtorであれば,最低購入数量を課されたり,Agentであれば,最低売上高を課されたりすることがあります。

 

販売地域(Territory/Area)の指定を明確にすること

 特に排他的な契約の場合,どのテリトリー/エリアでAgentやDistributorが独占的に当該商品の販売ができるのかということは非常に大きな利害を持っていることになります。

 

また,英文契約書によく定められる後述する競業禁止条項によって禁止される競業のエリアもこのエリアに一致することが多いため,この点でも重要です。

 

競業避止義務条項(Non Competition)のチェック

 これは,類似/競合商品を代理店や販売店が一定地域で他から仕入れて販売してはならないというサプライヤーの保護の趣旨の条項が定められることがあります。

 

 他方,排他的契約(Exclusive)の場合,サプライヤーにおいても一定の地域で他の代理店や販売店を指名しない,または,販売者自ら販売しないなどと代理店・販売店の保護の条項も競業避止条項といえます。

 

 英文契約書によく定められる条項です。

 

代理店・販売店となる場合はノルマ的条項(最低購入数量)に注意する

 代理店・販売店に対し,取扱商品の在庫数や販売数について最低量のノルマ(Minimum Purchase Quantity)を課すという条項が英文契約書に定められる場合があります。

 

 この場合,ノルマを果たせなければ,例えば,①契約を解除できる,②独占権(Exclusivity)を奪えるなどと英文契約書に記載されている場合があるため,このような条項については,その内容に注意し,違反の場合の効果についてチェックする必要があります。

 

再販売価格維持条項に注意 

  輸出者側が,代理店・販売店に対し,エンドユーザーに販売する際の小売価格を一定価格を維持するようにという内容の条項(再販売価格維持条項)を英文契約書に入れると,国によって独占禁止法違反に問われることがありますので,注意が必要です。

 

秘密保持条項(Confidentiality)を入れる

 代理店・販売店による販売を行う場合,輸出側・輸入側を問わず,自社の財務状態,販売実績や顧客情報などの情報を相手方に開示する場面が出てきます。

 

 これらの情報をお互いが自社の利益を図るために利用するとなると,本来の協力関係が壊れてしまいます。そのため,お互い取引上知った機密について第三者に漏示しないと英文契約書に定めるのが一般的です。

 

⑧  契約期間に注意

 契約期間は,一概に言えませんが,一般的には独占権のある販売店や代理店としては,ノルマが厳しくない限りは,長い期間の契約を望む傾向にあります。

 

 ノルマが厳しくない以上は,長く契約を締結しておいても特段不利益がない一方で,投下資本を回収し営業利益を上げていくには相当な期間が必要となるからです。

 

 他方で,サプライヤーとしては,あまり長期の契約期間を定めると,独占であれば販売店や代理店のパフォーマンスが良くない場合に,簡単に契約を切れないという不利益を受けることになります。

 

 そのため,バランスを見ながら,契約期間を設定し,①更新条項を入れない,②更新後の期間を調整する,③中途解約条項で調整するなどの対処が実務上行われています。

 

⑨  契約の解消に関する条項に注意  

 契約を解消すれば,販売店や代理店はもはやサプライヤーが提供する商品を販売したり,販促したりすることが許されなくなります。

 

 輸出者としては,契約終了後,すぐに新しい販売店や代理店を指名するか,自ら直接当該市場で販促をしたいと考えるでしょう。

 

 しかし,販売店や代理店が必死にコストをかけて,販路を開拓し,ブランディングしてきたとすれば,その活動には当然価値があります。このような無形的な価値をGoodwillと呼んでいます。

 

 もし輸出者(サプライヤー)が,現地の販売店や代理店にこれらのコスト負担でマーケティング,販促活動を展開させ,都合の良い時に当該契約を解消し,もっと良い条件で他の販売店や代理店を指名したり,自ら支店や子会社を作って直接販売活動に乗り出したらどうでしょう。

 

 アンフェアな場合がありますね。したがって,このような場面をどうするのか規定することがあります。Copmensation for Goodwillという条項はその一つです。

 

 反対に,サプライヤーからすれば,契約終了時に,このような補償金を払う義務がないことを定めたいでしょう。No Compensation for Goodwillなどの条項が英文契約書に入る場合があるのはそのためです。

 

 また,現地の法律によりサプライヤーの契約解消が一定限度で制限されていることもあります。そのため,場合によって現地法の調査が必要になります。

 

 英文契約書を作成する際には,他にも注意点はたくさんありますが,重要なところは以上の点といえるでしょう。 

 

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 昨今,大企業を中心に労働力のコスト削減や販路拡大などを目的にした独資や合弁による海外での会社設立による機能移転が活発化してきています。

 

 中小企業においても,これらの形態での海外進出で見事成功を遂げた事例もあります。

 

 昨今は,特にアジアの新興国や,ASEAN統合を睨んでシンガポールなどに進出する企業が目立ちます。

 

 会社設立による海外展開については,当然のことながら,現地の法規制(そもそも独資による子会社設立が可能なのか,支配比率など現地会社法の内容)などを精査する必要があります。

 

 もちろん,支店設立による展開もあり得るでしょう。

 

 このような形態での海外進出には,さらに国際税務の知識も不可欠です。移転価格税制,タックスヘイブン,配当益金不算入制度,PE(Permanent Establishment),租税条約などの理解がなければ,せっかく現地で利益が上がっても,思うように国内に還元できないこととなります。

 

 このように,会社設立形態による海外進出は,輸入・輸出入取引による海外進出・展開よりもリスクが高いと言えます。

 

 したがって,現地のアドバイザーも含めて,適切な専門家に相談しながら慎重に検討する必要があるでしょう。

 

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