「商品の所有権は渡さない」——その安心感が,思わぬリスクを呼び込む契約になっていませんか

Consignment Sales Agreement(委託販売契約)は,売れるまで商品の所有権(Title)が委託者に留まるという点で,通常の売買契約・ディストリビューション契約と根本的に異なります。しかし,所有権を手放さないことの安心感の裏で,代金着服リスク・在庫劣化リスク・Audit権限の欠如といった実務上のトラブルが多発しています。署名前に条項の構造を正確に理解することが不可欠です。

こんな企業・方からのご相談をお受けしています

・海外の販売業者に自社商品を委託販売してもらう際の英文契約書を作成したい方
・相手方から届いた Consignment Agreement の内容を確認したい方

・委託販売手数料・在庫リスク・売れ残り商品の返還条項を理解したい方
・所有権が移転しない委託販売スキームのリスクと条項内容を把握したい方

 

 

委託販売契約 vs 売買契約 vs ディストリビューション契約——最大の違い

Consignment Agreement(委託販売契約)

受託者(Consignee)は商品を買い取らない。第三者への転売が成立して初めて,売上から手数料を差し引いた金額を委託者へ送金。受託者の手元にある間も,所有権(Title)は委託者に留保される。

Sales / Distribution Agreement(売買・販売店契約)

買主・販売店は商品を買い取る。出荷時または引渡し時に所有権が移転し,在庫リスクも買主・販売店が負う。売上と仕入コストの差額が利益となる。

 

 

⚠️ Consignment Sales Agreement の主要条項と注意点

委託者・受託者いずれの立場でも,以下の条項は署名前に専門家による確認が不可欠です。

① Ownership of Products(商品の所有権)

受託者の手元に在庫がある間も,商品の所有権は委託者に留保されることを明記することが大前提です。この規定により,万が一受託者が倒産(Insolvency)した場合でも,委託者は商品を回収する権利を主張しやすくなります。ただし,国によっては委託販売における所有権留保の効力が制限される場合があり,準拠法の選択と現地法の確認が不可欠です。

② Payment and Commission(支払いと手数料)

受託者が商品を販売した際,いつまでに・どのような方法で売上金を委託者に送金するかを具体的に規定する必要があります。また,受託者の報酬となる手数料(Commission)の計算方法(売上の何%か,または固定額か)も明確にしなければ,後から計算方法をめぐる紛争の原因になります。送金サイクルが長すぎると,委託者のキャッシュフローへの影響も生じます。

③ Inventory Management and Risk of Loss(在庫管理と滅失リスク)

受託者は委託者の商品を預かる立場(Bailee)にあるため,善良な管理者の注意(Duty of Care)をもって在庫を保管する義務を負います。保管中に火災・盗難などで商品が滅失・毀損した場合の責任(Risk of Loss)をどちらが負うか,保険(Insurance)の付保義務はどうなるか——これらが曖昧なままでは,損害発生時に委託者が全額損失を被るリスクがあります。

④ Reporting(報告義務)

受託者は定期的に(例えば毎月末)販売数量・在庫状況を委託者に報告する義務を負います。この報告に基づき,委託者は請求書(Invoice)を発行することになります。報告頻度・記載内容・提出様式が曖昧なまま契約すると,委託者は在庫状況を把握できず,代金回収や売れ残り商品の引き上げタイミングを逃すリスクがあります。

 

 

実務上の留意点——委託販売特有のリスク

所有権を維持できるメリットの裏に,委託販売特有の3つのリスクがあります。

⑤ 代金回収リスク(着服)

受託者が第三者から代金を受け取った後,その売上金を委託者に送金せずに流用する(着服する)リスクがあります。委託販売では委託者が直接エンドユーザーと取引しないため,売上の実態を把握しにくいという構造的な弱点があります。送金期限・未払い時のペナルティ条項・Audit権限を設けておかないと,被害が長期化します。

⑥ 在庫劣化リスクと返還条項

所有権が委託者に留保されていても,現地で長期間売れ残った商品が劣化・陳腐化していくリスクは委託者が負います。売れ残り商品の返還期限・返還条件(運送コスト負担者・返品状態の基準)・処分権限を明確に規定しなければ,商品が塩漬け状態になるリスクがあります。

⑦ Audit(監査)権限

委託者が受託者の倉庫に立ち入って在庫数量・状態を確認できるAudit(監査)権限は,委託販売契約における委託者保護の要です。契約書にAudit条項がなければ,委託者は受託者の申告を信じるしかなく,着服や在庫劣化が発覚した時には手遅れになる可能性があります。定期監査・抜き打ち監査の両方を可能にする条項を設けておくことが一般的です。

⑧ 準拠法・紛争解決(Governing Law / Dispute Resolution)

委託販売における所有権留保の効力は,国によって認められる範囲が異なります。受託者の所在国の法律によっては,委託者の所有権主張が制限される場合もあります。準拠法の選択・国際仲裁条項(ICC・JCAA等)の設置は,他の英文契約と同様,必ずチェックすべき項目です。

 

 

当事務所のサービス内容

英文契約書の作成・レビュー・翻訳に特化した弁護士が,委託販売契約に関して以下のサービスを提供しています。

英文契約書の作成・ドラフティング

所有権留保条項・Audit権限・代金回収保護・返還条項を適切に盛り込んだ,委託者の立場を守る Consignment Sales Agreement を一から作成します。ビジネスモデルに合わせたカスタマイズも対応可能です。

英文契約書のレビュー(相手方ドラフト)

相手方から送られてきた Consignment Agreement の内容を精査し,不利な条項・曖昧な条項を特定してレポートします。必要に応じて修正案(Redline)の作成も行います。

日英・英日翻訳

委託販売契約書の日英・英日翻訳を,法的ニュアンスを維持した形で行います。翻訳のみのご依頼も承っています。

交渉サポート・契約スキームの選択

委託販売・代理店契約・ディストリビューション契約のどれを選ぶべきか,ビジネスモデルやリスク許容度に応じてアドバイスします。

 

 

Consignment Sales Agreement に弁護士が必要な理由

所有権留保の効力は準拠法次第

「商品の所有権は渡さない」という安心感は,受託者の所在国の法律によって制限される場合があります。準拠法の選択と現地法の確認が不可欠です。

代金着服リスクは構造的に発生しやすい

委託者がエンドユーザーと直接取引しない構造上,売上実態を把握しにくく,着服リスクが高まります。送金保護条項・Audit権限を正しく設計する専門家が必要です。

在庫管理・返還条項の設計が重要

売れ残り商品の返還期限・費用負担・処分権限を明確にしないと,商品が塩漬け状態になります。Risk of Lossと保険付保義務の分担も専門的な設計が必要です。

契約スキームの選択からアドバイス

委託販売・代理店・ディストリビューションのどれが自社ビジネスに最適か,リスク・コスト・現地法を踏まえた選択からサポートします。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. Consignment Agreement・Consignment Sales Agreement・Consignment Contractはすべて同じ契約ですか?

A. はい,いずれも「委託販売契約書」を指す英語表記として使われます。「Consignment Agreement」「Consignment Sales Agreement」「Consignment Contract」「Consignment Stock Agreement」など名称は複数ありますが,商品の所有権を委託者に留保したまま受託者に販売を委ねるという契約の本質は同じです。どの名称で届いた契約書でも,所有権留保・コミッション・Audit権限・返還条項といった主要リスクは共通して確認が必要です。

Q. Consignment Agreement(委託販売契約)とDistribution Agreement(販売店契約)の違いは何ですか?

A. 最大の違いは商品の所有権と在庫リスクの所在です。Distribution Agreement(販売店契約)では,販売店が商品を買い取るため所有権と在庫リスクが販売店に移転します。一方,Consignment Agreement(委託販売契約)では,受託者(Consignee)は商品を買い取らず,売れた分だけ委託者に送金します。商品が売れない間も所有権は委託者に残るため在庫リスクを保持しますが,売れ残りの返還を求める権利もあります。

Q. 委託販売契約で所有権留保条項は受託者が倒産した場合に有効ですか?

A. 有効性は受託者の所在国の法律によって異なります。日本法の下では所有権留保は比較的有効とされていますが,米国(UCC適用州),EU各国,アジア諸国など,国によって「登録・公示が必要」「倒産手続き上の優先順位が低い」「留保条項が無効」となるケースがあります。受託者の所在国の倒産法・担保法を事前に確認し,必要に応じて担保設定・保険・信用状(LC)などの追加保護手段も検討することが重要です。

Q. 英文委託販売契約書にAudit(監査)条項は必ず入れるべきですか?

A. 委託者の立場であれば必ず入れるべきです。Audit条項がない場合,委託者は受託者の在庫報告・売上報告を信じるしかなく,代金着服や在庫の不正処理が発覚した時には被害が拡大しています。一般的なAudit条項には,①事前通知による定期監査,②抜き打ち監査の権限,③監査費用の負担(通常は受託者側に相違が発覚した場合は受託者負担),④監査結果に基づく差額精算の手続きが含まれます。

Q. 英文Consignment Agreementの作成・リーガルチェックの費用と納期はどのくらいですか?

A. 契約書の内容・ページ数・作業内容(作成・チェック・翻訳)によって異なります。見積り依頼から当日または翌営業日中に回答します。正式ご依頼まで料金は発生しません。契約書を添付してお問い合わせいただければ,内容を確認した上で正確な見積もりをお伝えします。

 

 

【注意事項】本ページの内容は一般的な解説を目的としており,個別の案件に対する法的アドバイスではありません。委託販売契約における所有権留保の効力は準拠法・相手国の法律によって異なります。実際の契約書の作成・審査にあたっては,必要に応じて現地の弁護士にもご相談されることをお勧めします。

弁護士 菊地正登

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