Be likely to do(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Be likely to do...という表現があります。
特に,英文契約書で使用されるときに特殊な意味を有するというものではありませんが,「…しそうである」という意味でしようされます。
たとえば,独占的販売店契約などでは,契約期間中はテリトリー内で他の販売店を指名できないと定められていることが通常です。
そうすると,販売店が仮に倒産などに至れば,ベンダーとしてはすぐに販売店契約を解除して,別の販売店を指名できる状態を作りたいはずです。
ただ,実際に破産申立てなどに至るには破産状態になってからそれなりの時間を要します。
そのため,ベンダーとしては販売店の取引先などから信用不安などの情報を得たら,実際の破産に至る前に販売店契約を解除してしまいたい場合もあるでしょう。
そのようなときに,たとえば,The Vendor may terminate this Agreement in the event that the Distributor files or is likely to file for bankruptcy...(販売店が破産手続開始の申立をし,または,しそうな場合にはベンダーは本契約を解除できる…)などと使用されることがあります。
しかしながら,実際の実効性には注意が必要でしょう。
破産に至りそうな状況で,実際に解除して,他に販売店を指名するなどし,現実に旧販売店がその後破産に至れば,問題はないでしょうが,実際には破産しなかったような場合には,解除の効果を争われたり,解除→他の販売店指名による損害賠償請求を受ける可能性があります。
「しそうな」場合ということがどれだけ客観的に裏付けられているかというのが重要ですが,実際に解除するのは慎重な検討を要すると思われます。