Liability is several only(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Liability is several onlyという表現があります。
これは,通常,「責任は個別責任(分割債務)である」という意味で使われます。
反対に,Liability is joint and severalという表現は,いわゆる連帯債務であることを示します。
2者以上の債務者がいる場合に,この2者の債務が連帯債務になるのか個別責任になるのかは大きな問題です。
例えば,AとBが連帯債務を負うという場合,Aは,自らの債務は履行していても,Bに債務不履行があれば,その責任をAも負わされるという意味を持つことがあります。
他方で,Liability is several onlyという表現の場合は,通常,Aの義務はAの義務,Bの義務はBの義務でそれぞれ別であるということを意味しますので,Bの債務不履行がAに影響することはないということを示しています。
契約類型によっては,当事者が3名以上いることもよくありますので,そのような場合,それぞれの当事者の義務がどのような性質になるのかについてよく検討し,決定しておく必要があります。
特に債務者側としては,Joint and Severalという連帯責任を意味する表現には,本当にそのような性質の義務を負うことが契約内容に合致するのか,十分に注意する必要があります。