Duplicate(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Duplicateがあります。
これは,英文契約書では,通常,「副本」という意味で使用されます。
それほど重要な単語ということではないですが,英文契約書に限らず,契約書を作成する場合,調印・サインする当事者の数分の契約書を印刷します。
その際に,それらがどれも同じ効果を有し,全部の契約書で同一の一つの契約を生成するというような内容が契約書に記載されます。
この時に,正副一体として契約を生成するという内容の副本の方を指して,Duplicateと呼ぶことがあります。
ちなみに,in duplicateという表現で「正副2通の」という意味になります。
契約書や合意書は通常自社と相手方と正副2通を作成し,それぞれ保管しますので,このような意味を表すときにin duplicateという表現を使用します。
なお,国際取引で外国企業と契約書を交わすときは,英文契約書をスキャンして電子メールにPDFファイルの形式で添付して往復させるということがよくあります。
基本的に多くの国で紙の契約書にサインをするということをせずとも契約が有効に成立するとされています。
もし紙の契約書にサインをするということをせずとも契約が有効になることが確認できている場合には,電子署名や電子印鑑などを用いてデータ上でサインや押印をして保管しても問題ないことになります。
国際取引では,紙の契約書を郵送して往復されると時間がかかりますし,郵便事故が起きる可能性もあるので,データで契約書のやり取りをすることも多くあります。
データでのやりとりであれば,締結が短い時間で可能ですし,郵送事故の心配もありません。
電子署名や電子印鑑の場合,データ流用が容易なので偽造などのリスクに注意しなければなりませんが,基本的には便利なので,積極的に用いることで問題ないかと思います。