Payment(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文・英語契約書を翻訳(英訳/和訳),チェック,作成,修正する際によく登場する英文・英語契約書用語に,Paymentがあります。
これは特殊な用語というわけではないですが,「支払い/支払条件」という意味で使われます。
商品の輸出入では,特にTelegraphic Transfer(TT送金・銀行送金)による取引の場合,かなり重要な取り決めです。
売主の立場からすれば,売掛金の回収リスクを背負うのは困ります。
反対に,買主としては,キャッシュフローの都合や,商品がきちんと約束通りに届くかどうかの不安から,できるだけ掛売り・後払いにしてもらいたいところです。
先払いになるのか後払いになるのかは,結局は立場の強弱で決まってしまうことが多いです。
自社が売主の場合に,海外の買主の立場のほうが強ければ,バーゲニングパワーの問題で,買主に有利な後払い・掛売になりがちということになります。
このバーゲニングパワーは,結局のところ,どちらがその取引をより欲しているかによって決まります。
その取引をより強く欲している方がどうしても足元を見られて,弱い立場となりがちです。
そのため,もし日本企業が売主として商品を海外に輸出したいと考えているときに,その取引先とどうしても取引がしたいという事情があると,支払い条件での交渉は不利になります。
ただ,日本企業が売主となって海外に商品を輸出をする場合には,後払いは極力避けたほうが無難です。
なぜなら,相手が外国企業の場合に,売掛を残し,相手が期日までに払ってくれないと,回収が国内に比べて非常に困難になるからです。
最も安全なのは,発注時に全額支払ってもらい,受注生産とし,在庫ももたないようにすることです。
それが難しくとも,船籍港から発送する前に全額前払を求めたり,一定の割合の先払いを求めたりすることが重要です。
信用状(L/C)取引の場合,銀行保証がついていますので,安心ではありますが,すべての企業がL/C口座を開設できるわけではありません。
なので,売主としては,代金回収リスクを考えながら,支払い条件を妥結する厳しい決断を迫られることはよくあります。