英文契約書の相談・質問集14 英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いのですよね。
英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いのですよね。」というものがあります。
結論から申しますと,英訳するだけでは危険です。
英文契約書というものは,英米法(コモン・ロー)の考えに基づいて作成されていることが通常です。
ところが,和文契約書は,あくまで日本の法律や商慣習に基づいて作成されているため,これを英訳しただけでは,「英文契約書」にはならないのです。
和文契約書を英訳して使用する場合によくあるのが,相手方が読んで意味がわからない,条項の表現に違和感があり,サインを拒絶されるというケースです。
また,相手方がサインしたとしても,書かれた内容が日本の法律や商慣習で作られているため,実際にトラブルになったとき,相手方の理解がこちらの理解と異なっていたということも起こります。
さらに,日本の契約書は,日本企業同士で「性善説」に立って信頼関係に基づき作られていることが多く,全体的に内容が薄い傾向にあります。
他方,国際取引では,トラブルを避けるため,「性悪説」に立って,契約条件を事細かに規定し,問題が起きたときにどのように対処するかなどを詳細に規定し,意味も他の解釈がありえないように一義的に規定する必要があります。
この要請に対し,性善説に立った簡素な内容の和文契約書は応えられていないことがほとんどです。
したがって,和文契約書を英訳して使用する場合も,英文契約書で必要な条項は加える必要がありますし,国際取引で通用する内容に修正する必要があります。
英文契約書は,和文契約書を英訳したものではなく,国際取引の標準的に通用している英米法の考え方で作られた,誤解の可能性のない契約書のことを指すのだと理解して頂ければと思います。
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