Inform(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Informがあります。
これは,特に英文契約書に特有の用語というわけではないですが,英文契約書で使用される場合,通常,「知らせる/伝える」という意味で使用されます。
例えば,買主が売主から購入した商品が第三者の知的財産権を侵害するというクレームを受けた場合に,直ちに売主に知らせ,対応を協議するというような定めをする際にinformが使用されることがあります。
具体的には,Buyer shall inform Seller of such claim within XX days from its recepit of the notice...(買主は売り主に対し,通知の受領からXX日以内にかかるクレームについて知らせなければならない...)などと使用されることになります。
類似の意味をもつ英文契約書用語には,notify,advise,reportなどがあります。
これらの用語もいずれも「知らせる/伝える/報告する」という意味で使用されます。
どういう場面で何を誰にどういう方法で伝えなければならないのかについては,特に契約が一定期間継続する場合には,しっかりと把握しておく必要があります。
そうしないと,思わぬ場面で,契約書の義務に違反することになったり,本来可能であったクレームが出せなくなったり,損害賠償請求を受けることになったりするので注意しなければなりません。
したがって,報告をする側にとっても,報告を受ける側にとっても,報告のタイミング,報告の内容・事項,報告の方法(特定のフォーマットがあるのか,書面報告なのか,口頭なのかなど)について事前にきちんと契約書で取り決めておく必要があります。
このような報告事項で重要なのは,上記の第三者からのクレームなどの他,代理店契約(Agency Agreement)における,売上報告などがあります。
代理店契約においては,代理店が紹介した顧客と売主との間の売買取引における売上のX%がコミッションとして代理店に支払われるなどと規定されることが一般的です。
そのため,代理店としては,正確にコミッションの支払いを受けるため,売主と顧客との間にどの程度の売上があるのかを正確に把握したいところです。
この売上額を把握する方法はいろいろとあるのですが,まず基本となるのは,売主から売上額の報告を定期的に受けることでしょう。