Would reasonably be expected to...(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Would reasonably be expected to...があります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…が合理的に発生しうる」という意味で使用されます。
類似の表現として,is likely to...という表現があります。
これらは,...の部分にくる事象が起こった際には,一定の効果が生じるという文脈で使用されることが多いです。
例えば,...の事象が起きたら,契約を解除できるとされていたり,商品の引渡しを保留できるとされていたり,一定の効果が書かれています。
これは,実際にその事象が発生してから上記の様は効果が得られたのでは保護が足りないというような場合に,実際に事象が生じる前,事象が生じる可能性が高い段階で,既に効果が発生するようにする目的で使われることが多いです。
例えば,Exclusive Distribution/Distributorship Agreement(独占販売店契約書)などで,年間で最低購入数量(Minimum Purchase Quantity)を達成できなければ,メーカーは契約を解除できるという条項に,これらの表現が見られることがあります。
というのは,最低購入数量を達成できるかどうか1年度を実際に経過してから結果を判断するのでは,メーカーの利益が害される場合があるためです。
そのため,例えば,3期が既に経過していて,これまでの実績から残り1期では明らかに最低購入数量に未達で終わることがわかっているような場合,4期目を待たずに,契約を解約できるようにこのような条項が挿入されることがあります。
そのため,どの程度の可能性があれば,このような効果が生じるようにして良いかはデリケートな問題といえます。
一般に,表現としては,is likely to...の方が,would reasonably be expected to...よりも発生する可能性が高いと理解されています。
そうなると,前述の例でいえば,メーカーにとっては,would reasonably be expected to...としておいた方が有利となると考えられるでしょう。
もっとも,このあたりは結局は程度問題ですので,要するに,どの程度客観的・合理的にその事象が起こりうるのかを立証できるようにしておくことが大切です。
前述の例でも,3期の業績が悪くとも,4期目にクリスマス商戦などがあるというのであれば,まだ未達の蓋然性が高いとはいえないでしょうし,客観的に判断する必要があります。
メーカーとしても,安易に解除を選択して,販売店に争われて訴訟などになれば元も子もありません。
そのため,この表現に依拠するのであれば,相当な客観的証拠をもって対応する必要があるでしょう。