Cancel(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Cancelがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「解約する,取り消す」という意味で使用されます。
例えば,売買契約書などで,買主が売主に対して,商品を注文した後に,一定の要件を充たしている場合には,一旦注文した注文を取り消すことができるというような場面を規定する際にこのcancelという用語が出てくることがあります。
例えば,Buyer may cancel the purchase order before Seller submits the purchase order acceptance...(買主は売主が注文請書を発行する前であれば注文を取り消すことができる)というように使用されます。
このように,このcancelという用語は,英文契約書で,たまに,契約自体を解約・解除できるという文脈で使用されていることがあります。
ただ,契約自体を解約・解除できるという用語としては,通常,terminateという用語のほうがよく使用されます。
Cancelという英文契約書用語は,特に相手方に契約違反などがない場合に注文や契約を解約,取り消しができるという条項で使用される傾向にあるようです。
これに対し,terminateという用語は,当事者に債務不履行・契約違反などの事由がある場合に,債務不履行・契約違反をされた当事者が契約を解除するという内容の規定で多く使用されます。
もっとも,上記のような債務不履行・契約違反などの理由がなくとも(without cause),契約を中途解約(at any time)することができるという中途解約条項でも,terminateを使うことは頻繁にあります。
他方,cancelという用語は,後者の当事者の債務不履行・契約違反などがない無理由の解約の場面を規定するときに用いられる傾向にあるということです。
契約終了にcancelという用語を使用してはいけないということではないですが,一般的には,契約終了については中途解約も含めて,terminateが使用される傾向にあり,契約期間の満了による終了を表す用語としては,expire・expirationが使用される傾向にあると思います。
Cancelという用語が登場した場合,注文や契約の取り消し/解約について記載されていることが多いですから,重要な場面で使用されることが多い重要な用語の1つです。
したがって,cancelという用語を見たら,どのような条件を充たせば,注文を取り消したり,契約を解約したりできるのか,よく確認する必要があります。
中には,不当な契約の中途解約条項や,注文のキャンセル条項が定められていることがあります。
このような条項があると,せっかく取引関係が生じても,思わぬ解約やキャンセルによって,損害を被ってしまうことがあります。
そのため,cancelという英文契約書用語が登場した場合は,不当な内容になっていないか,cancelの条件を吟味し,交渉することが大切です。