Where...(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Where...があります。
これは,plain English(平易な英語)を英文契約書でも用いるべきという見解からは,使用しない方が良いという部類に入る用語になるかもしれません。
他にも,here...やthere...という表現があり,これらも使用は避けるべきという人もいます。
Where...という用語が使われた場合,基本的には,where...のwhereをwhichに置き換えて理解すると良いと思います。
例えば,wherebyとなっていればby whichと読み替えて理解し,whereforとなっていればforwhich,wherefromであればfrom which,whereofであればof whichと読み替えて理解するという具合です。
英文契約書では,here...という表現は,まだ頻繁に使用されていると思います。There...は,thatのような意味で使用されますが,これもまだよく使用されている印象です。
Where...は,here...やthere...よりは使用頻度が落ちる印象ですが,登場することはあります。
Plain Englishの使用を心がけるということは良いのですが,自分がドラフトしない契約書ではまだまだ専門用語やjargonの類の用語が使われていますので,理解できないといけません。
また,この用語はこういう意味だという専門家の間での共通の理解もあったりするので,それをあえて平易な表現に言い換えることでくどくなったり,意味が変わったりするおそれもあります。
そのため,今後も法律専門家が好んで使っているわかりにくい英文契約書用語というのはなくならないと思います。
一度理解してしまえば,それほど難しいということではないので,日常的な英語とは違う表現は一度集中して理解をすることをお勧めします。
Here...,there...,where...という表現も日常の英語ではあまり見かけないので,理解するのが難しそうですが,一度理解してしまえば,それほど難解というものでもありません。
なお,where...の表現で頻出するのはwhereasという用語だと思います。これは,前文と呼ばれる英文契約書独特の箇所に登場することが多いです。
この場合のwhereasは特別な意味があるわけではないので,和訳をするときなどは,あえて訳出しないことが多いです。
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,こうした特殊な用語の理解は避けて通れませんので,理解してしまいましょう。