Revise(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Reviseがあります。
これは,英文契約書で使われる場合,通常,「改定する/修正する」という意味で使用されます。
英文契約書は,ドラフトを一度作って終わりということはなく,修正する作業が不可欠です。
最初にドラフトを作成して相手方にドラフトを提出した場合,相手方が修正をすることがあります。
この修正作業についても,revise,revisionと呼びますし,英文契約書を一度締結した後に,当事者間で締結した英文契約書を改定する場合にも,amendやreviseという用語を使用します。
ドラフト段階を修正するのは,まだ英文契約書を締結する前ですから,特に改定することに特別な要件はありません。
どこをどのように修正したかがわかるように修正履歴をつけて修正し,相手方に提案するのが一般的です。
他方,英文契約書にサインして締結した後に,その内容を改定するにはどのような要件を充たす必要があるのかは最初から協議して,英文契約書に記載した方が良いでしょう。
そうしないと,例えば,英文契約書を権限者が署名して締結した後に,担当者同士がメールで英文契約書の内容と異なる内容の合意をした場合などに,そちらの内容が効力を有するのか,それとも英文契約書の内容が優先するのかが不明ということになる可能性があるからです。
英米法の原則で,口頭証拠排除原則/法則(Parol Evidence Rule)というものがあったり,通常,英文契約書には,完全合意条項(Entire Agreement)が挿入されたりしますので,英文契約書の締結以前に,口頭やメールで合意した内容は無効化するということになることが多いでしょう。
ただし,これは,あくまで英文契約書を締結する前に口頭やメールで合意した内容の効果が排斥されるということにすぎません。
英文契約書を締結した後に,口頭やメールで合意した内容が効力を有するのかどうかについては,口頭証拠排除原則/法則や完全合意条項とは無関係に契約書で決めておく必要があるのです。
一般的には,いったん英文契約書を締結した以上は,担当者同士がメールで合意したからといって,英文契約書の内容が変更されたとしたいという契約当事者はまれだと思います。
そのため,通常は,英文契約書の内容を変更する場合には,英文契約書の締結時と同様,当事者のうち署名権限ある者が,改めて署名する正式な書面を取り交わすことによりはじめて英文契約書の内容を変更することができると取り決めることになります。
このような条項のことは,一般的にriviseではなく,amendのほうを使いAmendment Clause(改定条項)と呼ばれています。
このAmendment Clause(改定条項)は,General Provisions(一般条項/ボイラープレート条項)の1つで色々なタイプの英文契約書に挿入される条項です。
上記の内容をAmendment条項に規定する場合に,英文契約書の内容を「改定する」という意味でreviseやamendという英文契約書用語が使用されることになります。
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際には,その英文契約書の内容を変更するには,どのような手続を経る必要があるのかについては,重要な意味がありますので,手続内容をしっかり把握しておく必要があるでしょう。