Minutes(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Minutesがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「議事録」という意味で使用されます。
英文契約書でよく使用されるというより,契約交渉過程などでもよくこの用語は登場します。
英文契約書で記載されるとすれば,各当事者が当該取引を行う権限があることを表明保証する際に,会社の取締役会議事録などを提出するという義務を課すような場合に,このminutesが登場します。
日本でいう取締役,代表取締役などが行えることというのは,各国の会社法のような法律で定められていることが多いです。
そして,会社法や定款などにより,一定の重要な取引を会社が行う場合には,取締役会決議が必要とされている場合もあります。
そのような場合の議事録(minutes)の提出が必要とされる場合があります。また,契約締結交渉や,残念ながら紛争になってしまった場合の交渉において,相手方当事者とミーティングをすることがあります。
こうしたときにも,会議の都度議事録を作成することは重要です。最近は会議を録音しておくということもありますが,その場合でも議事録を残すことには一定の意味があります。
議事録を作成し,相手方に送付し,了解を得ることで,どの議題についての結論がどの程度の法的効果を持ちうるのかがより明確になる場合があるからです。
そもそも議事録がないと,言った,言ってないの水掛け論になってしまいますし,録音だけですと,「そういう意味で行ったのではない。」とか,「そこまでの意図はなかった。」などの言い訳を許すことになりかねません。
そのため,きちんと事後的に書面にして,相手方の了解を得るようにすることで,上記のような不都合を生じることを回避できる場合があるのです。
もうおわかりだと思いますが,議事録には上記のような機能がありますから,自社で議事録案を作ることを提案すべきでしょう。
それによって,自社に有利といいますか,客観的に正しい内容を作成することができるようになります。
もちろん,相手方が作った議事録でも,間違いや不正確な内容が含まれている場合は,修正をすればよいのですが,修正箇所が大量になるような場合,相手もそのまま受け入れるかという問題も生じます。
契約書も同じですが,自社でドラフトするほうが一般的に有利になります。また,相手方もよく目を通さずに議事録の承認をするケースもありますので,自社がきちんと内容を把握し管理するという姿勢でいるためにも,自ら作成するほうが妥当でしょう。