Accordingly(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Accordinglyがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,「それに応じて」という意味で使用されることが多いです。
抽象的な説明ですが,accordinglyの前で説明された内容にしたがって,そこで書かれた内容から当然の帰結を導きたいというような場合に使用されます。
具体例を挙げて説明すると,契約書の前の文章で,100個買ったら5%割引き,200個買ったら10%割引き,300個買ったら15%割引きどと記載されていて,この比率を変えずに,その後の値引きについても記載したいようなときに,このaccordinglyを使います。
Accordinglyが使用された場合,上記の例では,その後の購入数に対する割引率も同じ割合が適用されるという意味をもつことになります。
なので,例えば,400個の割引率については具体的な数字が書かれていなくとも,「300個の後もaccordinglyに決まります」と記載されていれば,400個購入すれば,20%割引きですし,500個買えば25%割引きであることが導かれます。
もちろん,ずっと割引きをすればいずれ割引率が100%になりますので,例えば,「500個まではaccordinglyに値引きになります」などと規定することになります。
これにより,割引の上限が設定されたことになります。
なお,上記の例で言うと,例えば,150個の場合の値引きは7.5%になるのかが不明ということになるでしょう。
100個単位での割引率はわかるが,100個未満での注文の増加に対する割引はどうなるのかという問題です。
そういう場合は,例えば,10個単位で割合計算(Pro rata)に割り引くと規定したり,または,反対に割合による割引きはしないということであれば,100個から149個までは5%であることがわかるように記載します。
もちろん,accordinglyという用語を使わずに,すべて具体的に数字で記載したほうが明確にはなります。
なので,表などでわかりやすくすべてのケースを網羅するというのがベストかと思います。
ただ,内容によっては,規定しきれなかったり,非常に長くなってしまう場合もありますし,冗長過ぎたりする場合もあると思います。
そのような場合には,便利な表現といえます。ただ,あくまで意味を多義的に捉えられることがないということが前提になります。
冗長であることと,不明確であることとどちらを避けるべきかといえば,契約書では明らかに後者を避けるべきです。
契約書は文学作品とは違いますので,意味が一義的で,何を言っているかは誰の目にも明らかという表現を目指すのが正しいといえます。