By...(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,By...があります。

 

 これは,英文契約書において,様々な意味で使用されますが,期日を表す意味で使用された場合は,「…までに」という意味で使用されます。

 

 期日を表す表現としてby...が使用された場合,...の部分には日付が記載されます。例えば,「3月31日(31 March)までに」などと英文契約書では表記されます。

 

 では,上記の例の場合に,3月31日当日は含まれるのでしょうか。

 

 例えば,売主が買主に対して商品を3月31日までに引き渡さなければならないとされていた場合に,売主が3月31日ぎりぎりに納品した場合,売主は契約違反をしたことになるのかということで,by...の日付に当日がふくまるのかどうかが問題になります。

 

 一般に,by...の日付は,当日を含むと解釈されています。

 

 そのため,上記の事例では,売主は納期までに買主に対して商品を引き渡していることになりますので,契約違反にはならないということになります。

 

 これに対して,before...という表現を英文契約書で使用した場合は,...の日付の当日は含まれないことになります。

 

 そのため,上記事例では,今度は,売主は納期遅延をしたことになり,契約に違反したということになります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,期日を表す表現は大切です。

 

 期日までに行動しなければ,契約違反で損害賠償債務を負ったり,権利を喪失してしまったりという重大な不利益を受けるおそれがあります。

 

 そのため,期日を表すby...やbefore...,within...などの英文契約書用語が登場した場合は,その内容を精査することが大切です。

 

 なお,by...と同じ内容をbefore...を使用して表現する場合は,on or before...という表現を使用すれば良いことになります。

 

 On...の場合,...の日付の当日を意味しますので,これとbeforeを組み合わせることにより,by...と同様に当日を含んだ表現にすることができます。

 

 したがって,on or before...とした場合も,上記の事例では,売主は期日までに商品を引き渡していることになりますので,契約違反にはならないということになります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に,by...やbefore...という表現を使用すると,「あれ,当日を含むんだっけ?」といちいち調べ直すということになりがちです。

 

 そのため,英文契約書において期日を表現したいときは,読んですぐに意味がわかる,on or before...という表現に統一するなどの工夫をしておくと時間を浪費せずに済むかもしれません。

 

 英文契約書で最も大切なのは,当事者が合意した内容を漏らさず,確実に記載することです。

 

 そのためには,最もストレートに意味が伝わり,相手方も誤解しにくい表現を選択し,同じ意味を表したいなら愚直に同じ表現を繰り返し使用するということは正しい姿勢です。

 

 英文契約書は,小説ではありませんので,美しい表現は不要です。

 

 英語表現は,繰り返しを嫌うなどと学校で習ったかもしれません。

 

 ただ,ここで扱っているのは契約書です。

 

 英語表現としての自然さや美しさ,流暢さよりも,誤解を与えない,複数の解釈の余地を残さない,正確であるということのほうが価値が高いです。

 

 この点は,英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際に常に意識しておくべきポイントになります。

 

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