Successively(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Successivelyがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「継続的に/引き続いて」という意味で使用されます。
あまり見かけないですが,類義語としては,continuouslyが挙げられるかと思います。
契約書では,一定の行為が何回予定されているのかということを明確に記載することが大切です。
例えば,契約書に記載された金銭の支払いが一回限りなのか,それとも,複数回継続的に予定されているものなのかということが重要なのはすぐに理解できると思います。
また,契約期間が定められている場合に,契約期間が満了しても,契約の更新が予定されている場合にも,更新が一回だけ予定されているのか,それとも複数回予定されているのかは,重要です。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,特に販売店(Distributor)側としては,コストをかけて商品の販路開拓,広告宣伝をしていくわけですから,短期で契約が終了してしまっては,損益分岐点に到達せず,投下資本が回収できないという事態もありえます。
そのため,販売店(Distributor)にとっては,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の期間が長期間で定められているか,短期間である場合は,長期にわたる更新が予定されているかが重大な関心事になります。
反対に,サプライヤー側からすれば,特に独占販売権を渡す独占販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)の場合には,販売店(Distributor)の実績がなく,パフォーマンスが計れない中で,最初から長期間の契約をすることは,できれば避けたいところでしょう。
そうすると,最初の契約期間は短くしておいて,販売店(Distributor)の実績次第では,契約を更新しても良いと考えるかもしれません。
このような場合に,契約の更新が何回予定されているのかということが重要になってきます。
契約の更新回数は,販売店(Distributor)からすれば,自社の投下資本を回収し,損益分岐点を超えて,継続的に利益を上げられるかどうかという問題ですので,前述したとおり当然の関心事です。
サプライヤーからすると,最初から契約の終了時期を設定したいという場面はあまりないかもしれませんが,例えば,自社が何年後かにその地域で販売展開をすることが決定していて,それまで,この会社に独占販売店として売ってもらうというような場合には,最長何回までの更新と定めたいということがありかもしれません。
このように,契約の更新一つとっても,一回限りを予定しているのか,それとも,複数回なのか,複数回だとして,無制限なのか回数制限があるのか,などは重要なテーマです。
この契約期間および契約の更新条項に,successivelyという用語があれば,「その後も引き続き」という連続性を表すので,更新は一回限りということではなく,複数回予定されていることがわかります。
そして,英文契約書に更新の回数や契約の絶対的な終了時期については言及がなければ,通常は,無制限に更新が繰り返されるということになるかと思います。
ただ,普通は,当事者の一方が相手方に対して更新をしない旨を通知しない限りはというような条件がついています。
そのため,上記のような更新拒絶の通知がなされない限りは,契約は無制限に更新されるということになることが多いと思います。
もし,最大何回までの更新,最長いつまでの契約期間としたいということであれば,契約の更新回数や契約期間の絶対的な満了日を,英文契約書に明確に記載することになります。
英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,こうした回数が重要な条項というものがありますので,何回予定されているのかが一義的に明らかになっているか十分に確認する必要があります。