Become immediately due and payable(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Become immediately due and payableがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「直ちに期限が到来し弁済しなけばならない」という意味で使用されます。

 

 日本語でいうところの「期限の利益の喪失」条項で登場する文言です。英語では,accelaration clauseといいます。

 

 これは,債務者が,ある債権を分割して支払っている場合に,例えば,1度でも支払い期限に遅れて支払いを遅滞した場合は,残存する債務全額について,直ちに弁済期が到来するという内容です。

 

 債務者は,ある債務の総額を一括で支払わずに,分割して支払うことを認められるというのは,当然債務者にとって利益が大きいです。

 

 キャッシュを一気に吐き出さなくて良いわけですから,設備投資に回したり,その資金を運用して利益を得たりすることが可能になります。

 

 これを,期限の繰り延べによる債務者の期限の利益と呼びます。

 

 支払いを怠ることで,この利益を失って,直ちに残額を一度に支払わなければならない状態になるため,その利益を失う,すなわち,「期限の利益の喪失」条項と呼んでいるわけです。

 

 債権者からすれば,分割払いを許すことで,債務者に利益を与えつつ,リスクを取っているわけです。

 

 その場合に,債務者が分割払いの支払いを怠ったとなれば,残りの金額も依然として分割して長期で払ってくれれば良いというのは,債権者にとってリスクが大きいわけです。

 

 訴訟を提起して,残額を回収しようにも,期限の利益の喪失条項がなければ,それぞれの分割金の支払期限が到来するまでは,将来の分割金の分は請求できないということになってしまいます。

 

 このような事態を避けるために,もし債務者が分割金の支払いを怠って,債権者の回収に危険信号点灯した場合には,債権者が訴訟提起などを通じて残額を一気に回収できるようにするのが,この期限の利益の喪失条項です。

 

 この内容を記載する際に,英文契約書では,become immediately due and payableという表現が使用されます。

 

 また,分割払いの債務に限らず,とにかくある債務について期限までに支払いをしなければ,他に何か期限が未到来の債務があったらその債務もすべて弁済期が到来し直ちに弁済しなければならないという内容が定められることもあります。

 

 さらに,同じ取引先との間で,別々の契約書に基づく複数の取引があった場合,そのうち一つでも期限までに支払いを怠れば,すべての取引上の債務について弁済期が到来するということを定めることもあります。

 

 このようなケースでは,英文契約書の実務上,よく解除条項と一緒にこの期限の利益の喪失条項が挿入されています。

 

 契約の解除ができる原因には,契約違反や当事者の破産手続開始の申立てなど財務状態の悪化を示す一定の事由が挙げられることが多いです。

 

 これらが,そのまま期限の利益の喪失の事由にも該当するとされ,これらの事由が当事者の一方に生じた場合に,他方の当事者は,契約を解除することもできるし,期限の利益の喪失条項によって直ちに金銭債権の残額全部を請求できるということになります。

 

 もっとも,仮に期限の利益の喪失条項を挿入しておいたところで,債務者が約束どおりの期限に債務を支払わないということは,財務状態が悪化していることが考えられます。

 

 そのような場合に,いくら債権者が残額全部を直ちに請求できるといってみても,実効性がないということは多いです。

 

 このような事態を避けて,回収を確実性の高いものにする場合は,やはり担保や保証を取り付けるということでしょうが,海外取引において担保の取得は現実性が低かったりします。

 

 このように,債権回収には悩みが多いのですが,実効性の有無はともかくとして,分割払いを怠った債務者に分割払いの利益を与え続けることは妥当ではない場合が多いでしょうから,期限の利益の喪失条項を挿入し,一応の手当をしておくということになるかと思います。

 

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