Commence(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Commenceがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「開始する」という意味で使用されます。

 

 何らかの手続を開始するとか,交渉を開始するとか,そうした内容を英文契約書に定める際には,このcommenceという用語がよく使用されます。

 

 Commenceという用語を使用する際の注意点としては,この用語はあくまで「開始する」ということを述べているに過ぎないので,開始した後にどのようになるのか,どのようにすべきなのかについてもきちんと考えておかないといけません。

 

 例えば,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)で,販売店がいつまでに販売店としての登録手続きを開始しなければならないと英文契約書で定めたとします。

 

 Distributor shall commence the procedure of...などとしてcommenceが登場することになります。

 

 この内容は,あくまで,販売店としての登録手続きを開始するということしか義務付けられていません。

 

 そのため,手続きを開始しさえすれば,登録ができるかどうかは関係ないですし,登録手続きをいつまでに完了するかも関係ないということになります。

 

 したがって,登録の成果によって何か取扱いを変えるのであれば,そのことも契約書に記載する必要があります。

 

 また,登録手続きをいつまでに終えなければならないという事情もあるのであれば,そのことも契約書に記載しなければなりません。

 

 もう一つcommencementをよく使用する例を挙げると,当事者間で紛争が生じた場合の交渉の方法について英文契約書で規定する場合です。

 

 例えば,最初は,不満のある当事者が他方当事者に書面で通知し,他方当事者が通知を受領してから〇〇日以内に取締役同士が交渉を「開始する」というような内容で,commenceが使われます。

 

 この場合も,前記の例と同様に,交渉を開始しなければならないとだけ契約書に記載していると,交渉を開始すればよいのであって,誠実に交渉しなければならないとか,何回話し合いの機会を持たないといけないとか,いつまで交渉期間を設けなければならないとかについては,いずれも触れられていないということになります。

 

 そうなると,クレームの通知を受けた相手方としては,交渉の場に一度ついて,すぐに交渉を決裂させても何ら問題はなく,契約書違反にならないという解釈ができる可能性があります。

 

 これを避けるためには,交渉を開始した後に,誠実に交渉をする義務(Good Faith)を規定し,交渉期間も設定し,交渉期間が終了すれば,その後のステージ(代表者同士の交渉や法的手続き)に移行することを契約書で規定する必要があります。

 

 このように,commenceというのは,開始するということしか意味しないことになりますので,その後のことを契約書に規定することを忘れてしまうと,あとで大きな問題になる可能性があります。

 

 開始があれば,終了があるはずで,開始した後にどこで着地させるのか,いつまでにどう着地させるのかということも併せて考えておく必要があります。

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際には,一定の行為を開始しただけで,要件を満たしてしまい,契約違反とはならないという主張がなされないよう,意識しておかなければなりません。

 

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