Vacate(英文契約書用語の弁護士による解説)

 

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Vacateがあります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「無効にする」という意味で使用されます。

 

 例えば,Settlement Agreement(和解契約書)で,vacate the judgementなどとしてこの用語が使われることがあります。

 

 Settlement(和解)は,通常は,訴訟提起前や,訴訟中に行なわれることが多いですが,まれに判決が出た後に和解するということもあります。

 

 判決は確定したものの,強制執行を避けたいとか,一括支払いを分割にしてほしいとかいう事情が敗訴した当事者に生じることがあります。

 

 そのような事情から,一度判決が出たにもかかわらず,その判決の効力を否定して,当事者間で新たな条件で和解するということがあります。

 

 判決で勝訴した当事者は,勝訴しているのに,和解に応じるメリットがないのではないかと疑問に感じるかもしれません。

 

 ただ,判決があっても,敗訴者がその判決の内容のとおりに支払いをしてくれなければ,判決をもっていても,それはただの紙切れです。

 

 その紙切れを意味があるものにするためには,裁判とは別に強制執行をしなければなりません。

 

 つまり,その勝訴判決をもって,今度は,敗訴者が持っている不動産だとか,預金,売掛金などの財産に対して強制執行して,換金して支払いに充当する必要があります。

 

 この手続が,面倒で,時間と費用がかかるという事情があります。

 

 ただでさえ,訴訟をして勝訴判決を得るまでに多大はコストと時間を吐き出したにもかかわらず,さらにコストと時間をかけなければならないのは大きなデメリットです。

 

 また,相手の財産が見えていて,差し押さえが容易なのであればまだしも,そういうケースばかりではないのが現実です。

 

 相手が強制執行を免れようと資産を「隠して」いたりすると,せっかく勝訴判決を得ていても,差し押さえるべき財産が見えず,絵に描いた餅になってしまうこともままあります。

 

 そのため,勝訴した当事者が,判決確定後に和解する理由の一つに,この強制執行にかかる諸々のコストを避けるというものがあるのです。

 

 もっとも,和解するのであれば,やはりできるだけ早い段階で和解したほうが良いです。

 

 特に海外取引では,訴訟などの法的手続きを行うと,多額の弁護士費用がかかります。

 

 そして,最終的に勝訴しても,判決をもって強制執行するとなれば,またコストがかかります。

 

 海外の弁護士は,タイムチャージ(弁護士が動く時間によって請求する)が主流なので,長引けば長引くだけ費用がかかります。

 

 この観点からも,相手方当事者に多少余計な金銭を払ってでも,弁護士費用を抑えるために,早期に和解するということはよくあります。

 

 紛争というのは,常に勝利すれば良いということではなく,総合的な視点から,ときにはあえて勝負に負けて,ビジネスで勝つというような発想も必要になることがあります。

 

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