Deterioration(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Deteriorationがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(品質の)劣化」という意味で使用されます。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,商品の品質(Quality)について,何らかの規定をおくのが通常です。
例えば,仕様書(Specifications)に合致し,欠陥(Defect)がなく,通常の品質を備えていることを保証する(Warrant)などと規定されます。
ただし,どのような場合にも,通常の品質・性能を有することを保証するとすると,サプライヤー・売主にとって,責任が重すぎる場合があります。
例えば,地震などの不可抗力事由よって品質が劣化(Deterioration)した場合や,販売店(Distributor)の保管方法が悪く,品質が劣化したような場合です。
これらの場合にまで,サプライヤーが品質について保証し,無償で商品を交換したり,返金したりしなければならないというのは,サプライヤーに厳しすぎるという感覚はあるでしょう。
そのため,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,不可抗力により品質が劣化した場合の免責や,相手方の責めに帰すべき事由により品質に問題が生じた場合の免責などを定めることになります。
特に,何もしていなくても,時間が経つと自然と品質が劣化(Deterioration)していくような商品の場合,その経年劣化について,どのような責任分担をするのかについては,予め契約書で決めておいたほうが良いでしょう。
一般的には,普通に使用していて自然に経年劣化していく部分については,売主は責任を負わないとしています。
このように,通常は,サプライヤーに責めに帰すべき事由があると考えられる場合のDetriorationについてはサプライヤーが保証をし,それ以外の事由による品質問題は,買主の負担で解決すると考えられています。
また,当然ですが,品質保証(Warranty)をする場合,保証期間(Warranty Period)についても明確にしておく必要があります。
特に,保証期間の起算点(いつから保証期間のカウントダウンが進行するのか)については,きちんと決めておかないと,あとで紛争の原因になることがあります。
例えば,販売店(Distributor)が商品を受領したときから保証期間が進行するのと,販売店がエンドユーザーに商品を販売し,そのエンドユーザーが商品を受領したときから保証期間が進行するのとでは,実際の保証期間はかなり違ってくることがあります。
このように,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に,Deteriorationという用語を見た場合は,品質に関する規定であることが多く,重要です。
そのため,Deteriorationという単語を見たら,商品の品質について,各当事者がどのように責任を分配するのか,予め契約書で明確に取り決めておく必要があります。