Significant(英文契約書の弁護士による用語解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Significantがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「重大な」という意味で使用されます。
英文契約書では,例えば,「株主構成に重大な変更があった場合は,相手方当事者に通知しなければならない。」とか,「財務状況に重大な悪化が認められたときは,相手方当事者は契約を解除できる。」などとして,Significantが使われることがあります。
ただ,どの程度のことが「重大な」に該当するのかは,明確ではありません。
したがって,自社で英文契約書を作成する場合に,この用語の使用はあまりおすすめできるものではありません。
自社で英文契約書をドラフトするのであれば,より明確な表現を心がけるべきでしょう。
前述した例でいえば,何%の株主が変更になったら通知をするのか,具体的な数字を記載するということが考えられます。
もっとも,上記2番目の例のように,具体的な数字を記載することが困難ということもあります。
その場合には,Significantのようなある程度あいまいで,幅がある概念を用いることもあるでしょう。
また,自社が契約書を作成するのではなく,相手方が作成した契約書をレビューする際には,Significantのような制限を課す用語を使用することはありえます。
例えば,前述の2番目の例でいうと,最初のドラフトで,「一方当事者の財務状態が悪化したときに」相手方当事者は,契約解除ができるという内容だったとします。
これは,ドラフトを受けた側からすると,財務状態が少しでも悪化したら契約が解除されるリスクがあるのは困ると考えることがありえます。
とはいえ,何%財務状態が悪化したら解除ができるなどと具体的な数字を入れるのも現実的ではありません。
こういう場合に,些細な財務状態の悪化で解除を主張されないように,予防的な制限を課すために,Significantのような用語を挿入するというのは対策としてありえます。
このように,Significantのようなあいまいな用語は,自社が英文契約書を作成する際には,できるだけ使用を避けたほうが良いですが,相手の契約書をチェック・修正するような場面では,あえて使っていくということもあります。