Discharge(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Dischargeがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「(義務を)履行する」という意味か,または,「(〜を義務から)解放する・免責する」という意味で使用されます。
義務を履行するという意味の場合は,Service Provider shall discharge its obligations(受託者はその義務を履行する)などと表記されます。
Perform its obligationsとしても,「義務を履行する」という意味になります。
他にも,Carry outも「義務を履行する/実行する」という意味で使用できます。
英文契約書で,Dischargeを使用する際に注意しなければならない点は,Dischargeには,前述した通り,「義務から解放する」「免責する」という意味がありますので,義務を履行させようと記述したのに,義務から開放されるように解釈されないようにしなければならないということです。
例えば,discharge Service Provider from its obligationsという表記は,サービスプロバイダーをその義務から解放するという意味です。
他にも,義務から解放するという意味で使用される英文契約書用語には,Releaseがあります。
ReleaseはよくDischargeとセットで使用されて,Release and Dischargeという形で「(義務などから…を)解放する」という意味で登場します。
言うまでもないですが,Dischargeが「履行する」という意味で使用されているのか,「義務などから解放する」という意味で使用されているのかを区別することは,全く意味が異なるので非常に大切です。
通常,表現で理解できるとは思いますが,万一わかりにくい場合は,専門家の意見を聞いたりして,意味を明確にするようにしましょう。
例えば,「義務を履行する」のほうなのであればPerformを使用したり,「義務から解放する」のほうなのであればReleaseと併せて使用したりという具合です。
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際にも,どちらの意味でDischargeを使用しているのか正確に判断しないと,大きなミスに繋がります。
言うまでもないですが,義務の履行や,義務からの免責についての内容は,契約書上重要な意味を持っています。
Discharge,Perform,Carry outなどの英文契約書用語が登場した場合は,義務に関する内容が含まれている可能性が高いので,注意深く検討する必要があります。