Proxy(英文契約書用語の弁護士による解説)
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Proxyがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,多義的で,「代理権」「代理人」「委任状」などという意味で使用されます。
プロキシーファイト(Proxy Fight)=委任状争奪合戦という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは,株主総会の議決権を代理人が行使できるとされている場合に,株主総会を支配するためにできるだけ委任状を多く集めようとする活動のことをいいます。
株主総会での決議事項に現経営陣とその他に争いがあるようなときに,このプロキシーファイト(Proxy Fight)=委任状争奪合戦が行われることがあります。
この「プロキシーファイト」のプロキシーというのが,今回の英文契約書用語Proxyになります。
上記の例のように「委任状」を指すこともありますし,Proxyが代理権や代理人を指すこともあります。
英文契約書よりも,英文で作成された定款などによく登場する用語といえるかもしれません。
当然ですが,ある人の代理人である主張する人がいる場合,その本人からその代理人に対し代理権が正当に与えられているかをきちんと確認しなければなりません。
最低限委任状の提出を要求することが必要です。
代理権のない代理を「無権代理」といいますが,無権代理の場合,有効に法律行為が生じるかどうかが法律の定めに委ねられることになったりして非常に不安定になります。
特に海外事業では,海外の法律に従って法律行為の有効性を判断することになり,日本法に基づく判断よりもハードルが高くなるでしょう。
そのため,代理を認める場合は,代理権の確認を確実に行うようにする必要があります。