At one's convenience(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,At one's convenienceがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…の都合の良いときに」という意味で使用されます。
この用語は,oneに入る当事者にかなり有利な内容です。
期限がなく,その当事者が都合が良いときにいつでも一定の行為ができるという内容を表すときに,このat one's convenienceが使われるので,その有利さがわかると思います。
例えば,支払いなどにこの用語があれば,いつでも好きなときに支払えば良いことになりますので,相当に有利でしょう。
さすがに,支払いについては支払期日(Due date)が定められていることが普通ですので,都合が良い時に支払えば良いという内容の契約書は少ないでしょう。
もっとも,契約の解約やキャンセルなどが都合の良いときにできるという内容であれば,定められていることはあります。
類義語としては,At any timeなどが挙げられます。こちらも,「いつでも」という意味ですので,その当事者に利益がある内容になります。
契約の中途解約などが,いつでも都合の良いときにできるという条項があることは珍しくありません。
ただ,その場合でも,解約の通知を出してからすぐに解約の効果が生じるわけではなく,解約の通知を出してから一定期間(例:3ヶ月)を経過したときに終了すると定められていることが一般的です。
あくまで,解約の通知を出すのはいつでもできますが,実際の終了時期には猶予期間があるというのが普通だということです。
いずれにしても,at one's convenienceという用語は,その当事者にかなり有利な内容となっている可能性が高いので,英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際にこの用語が登場したら,条項の内容を緻密に審査する必要があるでしょう。