ドイツの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してドイツに進出する際,以下のようなドイツの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
ドイツは,イギリスに代表されるコモン・ローの国ではなく,大陸法の体系に属する国です。
ドイツには,いわゆる販売店保護法として独自に販売店を保護するために制定された法律は,存在していません。
他方で,代理店契約(Agency Agreement)の代理店(Agent)を保護する規定(代理店法)は存在しています。
もっとも,代理店法は,代理店契約(Agency Agreement)に対するものですので,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)については直接適用されません。
ただし,ドイツでは,代理店法が一定の要件を満たした販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)にも類推適用されます。
そのため,販売店契約であっても,例えば,契約解除のための通知の猶予期間を一定期間設けるように強制されています。
また,販売店がサプライヤーの販売組織に代理店と同様に組み込まれており,かつ契約終了時に顧客情報をサプライヤーに引き渡す義務を負っているなどの要件を充たしたときは,契約終了の際に,サプライヤーが販売店に対して補償金を支払わなければならないとされています。
もっとも,販売店側から契約を解除した場合(サプライヤー側の事情や販売店の高齢・病気による場合を除きます)や,販売店の責めに帰すべき重大な事由によりサプライヤーが契約を解除した場合は,補償金の支払いは発生しないとされています。
そして,代理店法の類推適用により,上記の契約解除の猶予期間については,契約書で猶予期間を短くしたり,なくしたりすることはできませんし,契約終了の補償金支払いについては,支払いを免除するなどと契約書で免責することは認められていませんので,注意して下さい。
なお,契約終了の際や終了後に合意により補償金の支払いを免除することはできるようですが,契約が継続している間に将来の補償金の支払いを予め免除しておくことはできないとされています。
さらに,契約終了後の競業避止義務については,代理店法上,最長2年間とされ,その期間について相当の補償の支払いが必要とされています(商法典90a条)。また,EU競争法(垂直的制限一括適用免除規則)上,販売店契約における契約終了後の競業避止義務が一括適用免除の対象となるのは,原則として期間が最長1年間であることなどの厳格な要件を満たす場合に限られる点にも注意が必要です。
② 登録制度
ドイツでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)について言語規制はないので,英語などの外国語でも契約締結可能です。
④ 準拠法・紛争解決
ドイツ企業との交渉では,準拠法をドイツ法とし,紛争解決をドイツの裁判所と定めることを求められることが多い傾向にあります。
ドイツでの仲裁の場合は,ドイツ仲裁協会(German Arbitration Institute: DIS)による仲裁を選択することがあります。
以上が,日本企業がドイツ企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
ドイツ進出に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内に折り返しご連絡させて頂いております。
販売店契約書の内容に不安はありませんか?
契約書を添付してお送りいただければ、当日〜翌営業日中に弁護士が内容を確認し、無料でお見積をご回答します。正式にご依頼いただくまで費用は一切かかりません。
弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件